【完】ヴァンパイア、かなし
誰が悪いという事は無い。でも、このまま終わってしまうのは、先輩達には悔しい事だ。
僕は深呼吸をし、腹を括った。きっと、今度は和真先輩と荘司先輩を助ける番なんだ。
「すみません、借りますよ」
「え、ちょっと君……!」
僕は次の準備をしている軽音部の方からアコースティックギターを強引に借りると、先輩達の方へと歩いて行く。
「ちょっと、ぼさっとしてないで行きますよ。進行の先輩、ステージへ戻って下さい。最終組をもう一度呼んでもらえますか?……僕、一年の紫倉・ブルーム・エルザです」
いつの間にかこのステージ裏に来ていた僕に、その場の誰もが驚いて、声すら出せない状態だ。
「早く!時間押してるでしょう!」
「は、はい!」
驚いて固まっていた進行人の先輩が慌ててステージへと向かっていくのを見送り、僕もステージへ上がる階段の前へと足を運ぶ。
「ちょっと、貴方達もですよ。いつも強引にどんどん行くくせに、大事な時にぼさっとしないでもらえますか?」
振り向きざまに和真先輩と荘司先輩に強めの言葉を吐き出し、ふっと微笑む。
《お待たせ致しました……》
進行人のマイクを通した声が聞こえ、僕は階段を踏みしめ上がる。
僕が微笑んだ後に安心した和真先輩と荘司先輩の顔を思い浮かべ、僕のやったことは正しかったのだと信じて。
僕は深呼吸をし、腹を括った。きっと、今度は和真先輩と荘司先輩を助ける番なんだ。
「すみません、借りますよ」
「え、ちょっと君……!」
僕は次の準備をしている軽音部の方からアコースティックギターを強引に借りると、先輩達の方へと歩いて行く。
「ちょっと、ぼさっとしてないで行きますよ。進行の先輩、ステージへ戻って下さい。最終組をもう一度呼んでもらえますか?……僕、一年の紫倉・ブルーム・エルザです」
いつの間にかこのステージ裏に来ていた僕に、その場の誰もが驚いて、声すら出せない状態だ。
「早く!時間押してるでしょう!」
「は、はい!」
驚いて固まっていた進行人の先輩が慌ててステージへと向かっていくのを見送り、僕もステージへ上がる階段の前へと足を運ぶ。
「ちょっと、貴方達もですよ。いつも強引にどんどん行くくせに、大事な時にぼさっとしないでもらえますか?」
振り向きざまに和真先輩と荘司先輩に強めの言葉を吐き出し、ふっと微笑む。
《お待たせ致しました……》
進行人のマイクを通した声が聞こえ、僕は階段を踏みしめ上がる。
僕が微笑んだ後に安心した和真先輩と荘司先輩の顔を思い浮かべ、僕のやったことは正しかったのだと信じて。