【完】ヴァンパイア、かなし
《このステージに共に立つ先輩達は、強引に僕を、温かな世界に引きずり上げました。その温かな世界は、幸せで溢れてた。僕は、自分から幸せに目を背けていた事に、気付かされたのです》
そう。僕は目を背けていたのだ。自分は周りと違うからと自分を卑下していた。
《今、もし自分が幸せじゃないと思う人がいるなら、それは否定しません。僕だってつい最近までそう思っていたのだから。……でも、だからと言って視野を狭めないで下さい。きっと、温かな日だまりはすぐ傍にあります》
和真先輩と出会えたから、荘司先輩と出会えたから、僕は、そういう風に思えるようになった。
例え得体の知れない化け物の『君』がいようとも、僕は、今此処にいる『紫倉・ブルーム・エルザ』は幸せだ。
《すみません。スピーチというスピーチは考えていなくて、こんな事しか言えませんでした。なので、特技披露を兼ねて、想いを伝えたいと思います》
何て大胆な事をしているのだろう。どこか冷静な第三者の僕が、此処にいる僕を呆れた目で見ているような気がした。らしくない、かな。
強引に借りたアコースティックギターの紐を肩に掛けて、僕は、まだ幸せから目を背けていたあの日歌った楽譜を頭に駆けめぐらせる。
あの時は譜面上の音符でしか、歌詞でしか無かったあの温かなフレーズの意味が、今なら良く分かる気がするんだ。
そう。僕は目を背けていたのだ。自分は周りと違うからと自分を卑下していた。
《今、もし自分が幸せじゃないと思う人がいるなら、それは否定しません。僕だってつい最近までそう思っていたのだから。……でも、だからと言って視野を狭めないで下さい。きっと、温かな日だまりはすぐ傍にあります》
和真先輩と出会えたから、荘司先輩と出会えたから、僕は、そういう風に思えるようになった。
例え得体の知れない化け物の『君』がいようとも、僕は、今此処にいる『紫倉・ブルーム・エルザ』は幸せだ。
《すみません。スピーチというスピーチは考えていなくて、こんな事しか言えませんでした。なので、特技披露を兼ねて、想いを伝えたいと思います》
何て大胆な事をしているのだろう。どこか冷静な第三者の僕が、此処にいる僕を呆れた目で見ているような気がした。らしくない、かな。
強引に借りたアコースティックギターの紐を肩に掛けて、僕は、まだ幸せから目を背けていたあの日歌った楽譜を頭に駆けめぐらせる。
あの時は譜面上の音符でしか、歌詞でしか無かったあの温かなフレーズの意味が、今なら良く分かる気がするんだ。