【完】ヴァンパイア、かなし
ぼんやりと外の光景を眺めていると、グラウンドの真ん中から大きな太鼓の音が響いた。
後夜祭の毎年の恒例行事となっている、今年度の応援団の最後の演舞が始まる音。
「押忍!」
一際大きな、少年のようなハリのある声がこちらまで聞こえ、自然と笑みがこぼれる。
長い学ランを身にまとい、高い位置で結った長い黒髪と白のハチマキを風にゆらゆら靡かせる和真先輩。
凛々しく、気高く、そして美しい。皆が憧れる、応援団女性団長の『赤嶺和真』が、背筋を伸ばし、グラウンドに男達を引き連れて立っている。
でも、僕は彼女がただ気高く美しい人でない事を知ってしまった。
実直で、良く笑い、良く泣き、人を想うことが出来る温かな、完璧でない人だということを。
その和真先輩が凛々しく、気高く、美しくあれるのは、一見自由で掴み所の無い、でも、細かな事を見抜いてフォロー出来る荘司先輩のおかげ。
その荘司先輩に引っ張られ、周りも和真先輩を支え、彼女はそこに君臨しているのだと思える。
人は支え合って生きているというのはあながち嘘じゃない。彼女を見ていると、それを痛烈に感じるのだから。
後夜祭の毎年の恒例行事となっている、今年度の応援団の最後の演舞が始まる音。
「押忍!」
一際大きな、少年のようなハリのある声がこちらまで聞こえ、自然と笑みがこぼれる。
長い学ランを身にまとい、高い位置で結った長い黒髪と白のハチマキを風にゆらゆら靡かせる和真先輩。
凛々しく、気高く、そして美しい。皆が憧れる、応援団女性団長の『赤嶺和真』が、背筋を伸ばし、グラウンドに男達を引き連れて立っている。
でも、僕は彼女がただ気高く美しい人でない事を知ってしまった。
実直で、良く笑い、良く泣き、人を想うことが出来る温かな、完璧でない人だということを。
その和真先輩が凛々しく、気高く、美しくあれるのは、一見自由で掴み所の無い、でも、細かな事を見抜いてフォロー出来る荘司先輩のおかげ。
その荘司先輩に引っ張られ、周りも和真先輩を支え、彼女はそこに君臨しているのだと思える。
人は支え合って生きているというのはあながち嘘じゃない。彼女を見ていると、それを痛烈に感じるのだから。