【完】ヴァンパイア、かなし
きびきび息の合った動作で動く応援団は、ひとつのクラシックのよう。
和真先輩という絶対の指揮者に従いつつ、けれど、荘司先輩というコンサートマスター中心に指揮者を支える。
その、バランスの取れた応援団の演舞に、心が踊る。生きる活力がみなぎるよう。
あの日ぐらぐらと危うかった最後の見せ場の人間やぐらは今日は危うさのひとつも感じない。
まるでこの応援団という組織を具現化しているような、和真先輩を支えるやぐら。
「せーのっ!」という周りの生徒達の声に合わせて高く高くなるやぐらは、とても芸術的だった。
人はこうして生きて行く……その象徴のように思えるやぐらに、目頭が不思議と熱くなる。
「泣いてるの?紫倉君」
「……いいえ。ライトが眼鏡に反射して、そう見えるだけですよ」
生きたい。僕だって、あの支えの中の骨組みでも構わない。上に立つ願望は無いから。長く、強く生きたい。
切に願う想いは無駄なのかな。これは僕の我が儘なのだろうか。
和真先輩という絶対の指揮者に従いつつ、けれど、荘司先輩というコンサートマスター中心に指揮者を支える。
その、バランスの取れた応援団の演舞に、心が踊る。生きる活力がみなぎるよう。
あの日ぐらぐらと危うかった最後の見せ場の人間やぐらは今日は危うさのひとつも感じない。
まるでこの応援団という組織を具現化しているような、和真先輩を支えるやぐら。
「せーのっ!」という周りの生徒達の声に合わせて高く高くなるやぐらは、とても芸術的だった。
人はこうして生きて行く……その象徴のように思えるやぐらに、目頭が不思議と熱くなる。
「泣いてるの?紫倉君」
「……いいえ。ライトが眼鏡に反射して、そう見えるだけですよ」
生きたい。僕だって、あの支えの中の骨組みでも構わない。上に立つ願望は無いから。長く、強く生きたい。
切に願う想いは無駄なのかな。これは僕の我が儘なのだろうか。