【完】ヴァンパイア、かなし
僕の中の化け物が、彼女を求めてずくんとくすぶる。
けれど、それよりも、僕自身が彼女を求めて熱くなっているのが分かった。
「そんな目で、見ないで下さい。貴女には僕が男だという自覚が足りない。自分が女だという自覚も。この状況がどんな状況か、分かっていますか?」
最後の警告になりそうだ。僕は化け物である前に、一人のこの女性を愛する男なのだ。でも、怖がって離れてくれれば抑えられるなけなしの理性はまだある。
なのに、彼女は怖がりもせず、真っ直ぐ見つめたまま微笑んだ。
「こうなる前から覚悟はある。……君が思っているより、私は卑しい奴なんだよ」
きっと初めてなのだろう。腕の中の彼女の体が微かに震えているのなんて、気付くことは容易い。
でも、煽ったのは彼女自身だ。もう止まらない。命が尽きるまでに彼女の全てを暴くチャンスなんて、多分訪れる事は無いだろう。
「本当に嫌だったら、泣いて、叫んで。じゃないと僕……貴女を食べ尽くしてしまうから」
そっと閉じられた彼女の瞼に唇を落とし、そのまま啄みながら降下し、彼女の熟れた唇をくわえ込む。
初めて口付けしたあの日が酷く懐かしい気がする。そして、あの時には無かった欲の香りが鼻腔を掠めた。
けれど、それよりも、僕自身が彼女を求めて熱くなっているのが分かった。
「そんな目で、見ないで下さい。貴女には僕が男だという自覚が足りない。自分が女だという自覚も。この状況がどんな状況か、分かっていますか?」
最後の警告になりそうだ。僕は化け物である前に、一人のこの女性を愛する男なのだ。でも、怖がって離れてくれれば抑えられるなけなしの理性はまだある。
なのに、彼女は怖がりもせず、真っ直ぐ見つめたまま微笑んだ。
「こうなる前から覚悟はある。……君が思っているより、私は卑しい奴なんだよ」
きっと初めてなのだろう。腕の中の彼女の体が微かに震えているのなんて、気付くことは容易い。
でも、煽ったのは彼女自身だ。もう止まらない。命が尽きるまでに彼女の全てを暴くチャンスなんて、多分訪れる事は無いだろう。
「本当に嫌だったら、泣いて、叫んで。じゃないと僕……貴女を食べ尽くしてしまうから」
そっと閉じられた彼女の瞼に唇を落とし、そのまま啄みながら降下し、彼女の熟れた唇をくわえ込む。
初めて口付けしたあの日が酷く懐かしい気がする。そして、あの時には無かった欲の香りが鼻腔を掠めた。