【完】ヴァンパイア、かなし
こういった行為自体、僕は初めてでは無い。
日本に住む以前、我が家にホームステイでしばらくいた女性に悪戯されて、その点の経験は早い段階で済んでしまっていたのだ。
だからと言って慣れているというわけでもなく、何もかもがまっさらな和真先輩の反応に怖くもなるし、愛した人と触れる温もりの幸せに、呼吸も忘れてしまいそうになる。
誰も触れたことも見たこともない彼女の全てを僕が初めて暴くのかと思うと、欲望が更に加速して行く。
服の下に隠れていた柔らかな白い肌も、形の良い乳房も、すらりと伸びた細い足も、全部、今は、僕だけが見て、触れることを許されている。僕だけの記憶になって行く。
「あんまりっ……じろじろ見るなぁ」
「どうして?こんなに綺麗なのに」
月光の下、汚い僕に暴かれた綺麗な和真先輩。きっと、触れても触れても、彼女がその汚れに侵される事は無いだろう。
力のこもっていない抵抗を繰り返していたその腕は、いつの間にか精一杯に伸ばされて、僕の頬を小さな掌で包み込む。