【完】ヴァンパイア、かなし
「見なさいよ。貴女の愛してるあいつだって、私と同じ化け物よ。紫倉・ブルーム・エルザ君だって、貴女を食べたいヴァンパイア!」


「違う!」


「違わないわ!だって、初めての恋の相手を食べないと、ヴァンパイアは苦しみながら死ぬじゃない?紫倉君みたいに、徐々に弱って死んで行く。紫倉君は赤嶺さんを生かして死ぬ方を選んだ!美しい愛ね。バッカみたぁい!あははは!」


全て知られてしまった。僕が、和真先輩の大切な人を奪ったあの女と同じ、化け物だという事も、それでも足掻いて人間のまま、命を終えようとしている事も、全部、全部。


「でも、彼のその純真な愛ってやつは、貴女をもっと美味しそうに育てたわ。うふふ、残念ねぇ紫倉君。せっかく守った彼女は私に食べられる。そして、紫倉君も死ぬの。あの世で仲良く寄り添っていれば良いわ!」


「そんな事……させてたまるか!」


約束したんだ。大切な家族と、そして大切な友人と、命に代えても彼女を守ると。
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