【完】ヴァンパイア、かなし
皆がそう望むなら、僕は化け物の仮面を被ろう。


「赤嶺先輩を離せ！このっ……化け物！」


一人が僕に向かって僕に石を投げつける。それをかわきりに、一人、また一人と僕へ石を投げる者が増えて行く。


これで良いんだ。僕は、人間なんかじゃない。この人間社会から迫害されるべき化け物なのだから。


「違う！エルザは……！」


「違わないよ。見てたでしょう？和真先輩だって。僕は化け物だ」


まだ何か言いたげだった和真先輩を、最後に優しく抱き締めた。


「……さよなら。もう、行かなきゃ」


持てる力を振り絞り、僕はグラウンドから走って消え去る。


本当はもう、走れる程に元気では無い。体の感覚も、この世界とは違う場所へ行こうとしているのだ。


化け物に相応しい、寂しく、空虚なバッドエンドなのかもしれない。


朽ち果て、人々の記憶から消え去る運命もまた、誰も悲しまずに済むから僕の最後の幸福なのだと思おう。
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