【完】ヴァンパイア、かなし
体はとうに限界を迎えていて、僕は、遂にその体を止めて地面に膝を突いた。
いつも孤独を持て余していた中庭。本当は、いつも寂しいと、独りは嫌だと叫んでいた場所。
でも、この場所で涙は流さず心で泣いていた僕を、和真先輩は初めて見かけた時から気していてくれた特別な場所。
その情報はありさ先生から得たものだから信憑性に欠けるかもしれないが、僕はそれが本当だったと信じたい。
此処で死ねるだなんて、なんて幸せな事だろう。運命が動き出した場所で、独り息を引き取る事が出来るだなんて。
静かな此処で、聞こえるのは僕の呼吸の音と心臓の音のみ。
それは、僕がまだ生きているという証。
その証に気付いてしまうと……現金かな、死ぬことが急に怖くなってきた。
本当はまだ生きたい。死ぬのは怖い。独りは、独りは嫌だ……!
きっと、死にぞこなって足掻く僕は醜く、汚らしいのだろう。
視界が涙で滲み、痙攣が始まったその手を伸ばす。
誰か掴んで、僕の手を。そう何度も願ながら。