【完】ヴァンパイア、かなし
この件を担当した事で俺は、紫倉夫妻と、エルザの妹アメリと少しだけ話す機会があった。
「エルザは人付き合いがあまり得意な方ではありませんでした。でも、その分大切な人に対しては大きな力を発揮出来る子です。……優しい、子なのです」
エルザそっくりの父親に会うのは、見舞いに行ったあの日以来。
「ええ……良く、知ってます。僕もエルザ君には、助けて貰いましたから」
やぐらの練習中、転落する和真を助けるのに遅れた時、隠していたヴァンパイアの身体能力を駆使してエルザは助けてくれた。
文化祭の時、あんなに人前で目立つ事が嫌いだったエルザが、俺達の為にステージに立ってくれた。
「ずっと、何となく覚悟はしていたのです。エルザは優しい子だから、この宿命を一人で背負うだろうと。……息絶えるその時まで、君やああの子のような人間の温もりに触れて、きっとエルザは幸せだったでしょう」
幸せだったのはエルザだけじゃない。あいつと出会えた事、友達になれた事、十二年前から凍っていた和真の心を溶かし、愛してくれた事、その全てが、俺にとっても幸せだった。
「エルザは人付き合いがあまり得意な方ではありませんでした。でも、その分大切な人に対しては大きな力を発揮出来る子です。……優しい、子なのです」
エルザそっくりの父親に会うのは、見舞いに行ったあの日以来。
「ええ……良く、知ってます。僕もエルザ君には、助けて貰いましたから」
やぐらの練習中、転落する和真を助けるのに遅れた時、隠していたヴァンパイアの身体能力を駆使してエルザは助けてくれた。
文化祭の時、あんなに人前で目立つ事が嫌いだったエルザが、俺達の為にステージに立ってくれた。
「ずっと、何となく覚悟はしていたのです。エルザは優しい子だから、この宿命を一人で背負うだろうと。……息絶えるその時まで、君やああの子のような人間の温もりに触れて、きっとエルザは幸せだったでしょう」
幸せだったのはエルザだけじゃない。あいつと出会えた事、友達になれた事、十二年前から凍っていた和真の心を溶かし、愛してくれた事、その全てが、俺にとっても幸せだった。