【完】ヴァンパイア、かなし
「先輩、授業はどうされたんです?」


「え?あぁ、俺、専門学校進学もう決まってるから、結構授業サボっても大丈夫なのね。んで、廊下歩いてたらエルザが座ってるの見えて、出て来ちゃったのさ」


さも何でもないように話す満島先輩が指さしたのは、開けっ放しになった二階の窓。


「貴方……二階からここに飛び降りたんですか!?」


「えー、うん。そんな高くねぇし」


ダメだ。やはりこの人は理解出来ない。どこまで自由人なのだろう、なんて先輩相手だが呆れてしまい、言葉にならなかった。


「エルザよ、朝の話なんだが……」


「何です、何を言われても引き受けませんよ」


彼が僕に近づく目的なんかそれしかないと分かっていた僕が素早く返答すると、満島先輩はコロコロと喉仏を鳴らして楽しそうに笑い出す。


「だから、何なんです?」


「ひー、取り付く島もねぇ!お前キッツ!……あ、でも、俺が言いたいのは、お願いじゃなくて別に引き受けなくても良いぞってこと。俺、お前の気持ち分かるから」


しかし、まだ楽しそうに笑っている満島先輩から返ってきた言葉は、意外という他ない返答。
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