【完】ヴァンパイア、かなし
笑いすぎて半泣き状態の満島先輩は、俺の方を見てもう一度、黒染めでゴワゴワした多めの前髪に触れた。


「お前さ、アルビノだろ?髪の毛もホントは白金色なんじゃない?」


満島先輩はどうして、僕の予想の斜め上を行く言葉を投げてくるのだろう。何故、白皮症のことや髪の色のことが分かったのだろう。


「昨日目の色見たじゃん?それで分かったんだよ。……昔、俺と和真の親友だった奴がアルビノでよ」


「へぇ、この病気の人に出会ったことは父と妹以外ではありませんが、世界は狭いんですね」


だから昨日赤い目を見た時、驚いたり気味悪そうな顔をせず、僕の気持ちを組んで迅速な対応をしてくれたのか。


親友『だった』という言い方が引っかかったが、そのことについて聞ける程、僕は図太い性格ではない。


「そいつもあんまり目立ちたがらない性格だったからよ。分かるよ、エルザの気持ち。でも、和真は分かってるうえでお前に頼んでるんだとも思うんだよね」


「分かってるなら放っておいてくれれば良いのに」


それは、目立ちたくない心情を知ってあんな頼み事をした赤嶺先輩に向けてなのか、それともこうして話しかけて来る満島先輩に向けてなのか、僕にも分からない一言だった。
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