【完】ヴァンパイア、かなし
「ちょっと先輩……何泣いてるんです、ほら、ハンカチ使って下さい」
僕はヴァイオリンを置き、ポケットからラベンダーとオフホワイトの刺繍のハンカチを取り出し、赤嶺先輩の頬へとあてがった。
「だいたい、何で貴女がここにいるんですか」
「わっ……わたっ私、今日授業で、歌のテストが間に合わなくて。それで、放課後に、ひっく!」
なかなか泣き止まない赤峰先輩の背中をトントンと叩きながらありさ先生の方を向くと、「あら、忘れてた」と苦笑いしている。
「先輩?どこか体調でも悪いんですか?」
「ちが、くて!エルザ君の声が、綺麗で……か、感動、してるんだ」
嗚咽混じりに僕に懸命に、真っ直ぐ思いを伝える赤嶺先輩に、僕の心臓がまたざわざわと動き出す。
この感覚は何なんだ。ヴァンパイアの呪いって何なんだ。僕のこの胸のざわざわと呪いは、何の関係があるんだ。
僕はヴァイオリンを置き、ポケットからラベンダーとオフホワイトの刺繍のハンカチを取り出し、赤嶺先輩の頬へとあてがった。
「だいたい、何で貴女がここにいるんですか」
「わっ……わたっ私、今日授業で、歌のテストが間に合わなくて。それで、放課後に、ひっく!」
なかなか泣き止まない赤峰先輩の背中をトントンと叩きながらありさ先生の方を向くと、「あら、忘れてた」と苦笑いしている。
「先輩?どこか体調でも悪いんですか?」
「ちが、くて!エルザ君の声が、綺麗で……か、感動、してるんだ」
嗚咽混じりに僕に懸命に、真っ直ぐ思いを伝える赤嶺先輩に、僕の心臓がまたざわざわと動き出す。
この感覚は何なんだ。ヴァンパイアの呪いって何なんだ。僕のこの胸のざわざわと呪いは、何の関係があるんだ。