【完】ヴァンパイア、かなし
大きな社会だろうが、小さな社会だろうが、ピラミッドの最上層の住人に、逆らうこと等出来るわけがない。
「……分かりましたよ。その代わり、極力目立ったことはさせないで下さいよ」
嫌だ、鬱だと思っているのに、口から出たのは屈服の証。
赤嶺先輩はまだ涙を流したまま、だけど表情をパァと明るくし、こちらへ向かって全力ダッシュ。そのまま、何故か僕の元へダイブしてきた。
「なっ……何故!飛び付くのですか!?」
「気にするな!宜しく頼む!……エルザ」
『エルザ君』から、ごく自然なことのように『エルザ』に変わったことが、僕に飛び付いて強く抱き付く彼女の温度のように、温かい。
彼女のもたらすこの胸のざわざわは、求めていないのに……どうしてか、温かいのだ。
「……分かりましたよ。その代わり、極力目立ったことはさせないで下さいよ」
嫌だ、鬱だと思っているのに、口から出たのは屈服の証。
赤嶺先輩はまだ涙を流したまま、だけど表情をパァと明るくし、こちらへ向かって全力ダッシュ。そのまま、何故か僕の元へダイブしてきた。
「なっ……何故!飛び付くのですか!?」
「気にするな!宜しく頼む!……エルザ」
『エルザ君』から、ごく自然なことのように『エルザ』に変わったことが、僕に飛び付いて強く抱き付く彼女の温度のように、温かい。
彼女のもたらすこの胸のざわざわは、求めていないのに……どうしてか、温かいのだ。