【完】ヴァンパイア、かなし
そう思ったら、体が勝手に動いて。
「……エルザ?」
「すみません。でも、なんか、貴女のその悲しそうな顔は……少し、不細工だ」
隣にいる赤嶺先輩の、柔らかな白い頬に触れている自分がいて、その手を引っ込めなければという意思はあるのに、引っ込めるタイミングを失っていた。
決して泣いているわけではないのに、泣いているような顔の赤嶺先輩。その彼女の、流れていないけど流れているような気がする涙を拭うようにそっと頬を親指で撫でる。
「君の手は、優しいな。細いのに大きくて、温かい」
そうすると、赤嶺先輩は目を細め、子猫のような顔をし、僕の手に自らの手を重ね、触れてきた。
触れた赤嶺先輩の頬とか、指とか、親指の付け根のふっくらした所とかが、女性らしい柔らかさで、その柔らかさは、何物にも例えられなくて。
ドクン、ドクン。僕の中の得体の知れない化け物が、こんな時に血を求め、騒ぎ出す。
「……エルザ?」
「すみません。でも、なんか、貴女のその悲しそうな顔は……少し、不細工だ」
隣にいる赤嶺先輩の、柔らかな白い頬に触れている自分がいて、その手を引っ込めなければという意思はあるのに、引っ込めるタイミングを失っていた。
決して泣いているわけではないのに、泣いているような顔の赤嶺先輩。その彼女の、流れていないけど流れているような気がする涙を拭うようにそっと頬を親指で撫でる。
「君の手は、優しいな。細いのに大きくて、温かい」
そうすると、赤嶺先輩は目を細め、子猫のような顔をし、僕の手に自らの手を重ね、触れてきた。
触れた赤嶺先輩の頬とか、指とか、親指の付け根のふっくらした所とかが、女性らしい柔らかさで、その柔らかさは、何物にも例えられなくて。
ドクン、ドクン。僕の中の得体の知れない化け物が、こんな時に血を求め、騒ぎ出す。