【完】ヴァンパイア、かなし
そんなありさ先生を不思議に思い次の言葉に詰まっていたが、その詰まりが解消される前に、僕の意識は再びグラウンドへと弾かれた。
「和真ぁ!」
人同士で組まれた不安定な高いやぐらはぐにゃりと歪んで空中分解されている。
耳に届いたのは二段目にいた満島先輩が、地面に着地する前に赤嶺先輩の名を必死に叫ぶ声。
一番高い所から落ちる赤嶺先輩の細い体。もし崩れた時の為に周辺を固めていた筈の応援団の一年生の誰かは、多分反射的に落ちてくるものから身を守る為、体を退避させてしまっていた。
ほんの零コンマ数秒の出来事。多分、このままだと、赤嶺先輩は高いあの場所から固いグラウンドの砂へと落ちる。
これをスローモーションのように追えるのは、人より全ての機能が優れたヴァンパイアである僕とありさ先生のみ。
そして、彼女が落下するのを助けられるのも、また然り。
「し、紫倉君!?」
ありさ先生の声が、後ろから聞こえた気がした。この後周りからどう言われるのだろうなんて事、もう、今の僕には考えられない。
「和真ぁ!」
人同士で組まれた不安定な高いやぐらはぐにゃりと歪んで空中分解されている。
耳に届いたのは二段目にいた満島先輩が、地面に着地する前に赤嶺先輩の名を必死に叫ぶ声。
一番高い所から落ちる赤嶺先輩の細い体。もし崩れた時の為に周辺を固めていた筈の応援団の一年生の誰かは、多分反射的に落ちてくるものから身を守る為、体を退避させてしまっていた。
ほんの零コンマ数秒の出来事。多分、このままだと、赤嶺先輩は高いあの場所から固いグラウンドの砂へと落ちる。
これをスローモーションのように追えるのは、人より全ての機能が優れたヴァンパイアである僕とありさ先生のみ。
そして、彼女が落下するのを助けられるのも、また然り。
「し、紫倉君!?」
ありさ先生の声が、後ろから聞こえた気がした。この後周りからどう言われるのだろうなんて事、もう、今の僕には考えられない。