【完】ヴァンパイア、かなし
「それでは怒らせてしまって後で面倒になりませんか?」


《それは大丈夫だ。応援団の連中はあまり物事を深く考えてない。つまり単細胞なんだ》


自分の部活の後輩に対しての言葉とは思えない発言だが、的外れでは無いかもしれない。


実際、もっといじられると思っていた僕の見た目の変動に対しても、驚きはしていたもののマイナスな事は言われなかった。


《後は、んー、俺達を上手く使えば?》


「上手く使う、と言いますと?」


へにゃりとした声で喋り出した満島先輩の意見に耳を傾けてみると、その真ん中に芯が無さそうな声で更に満島先輩は続ける。


《俺達エルザには結構フレンドリーだけどさぁ、後輩には厳しいんだよ、意外と。ねー和真》


《ああ。部活で縦社会を学んでいた方が奴らの為になるからな》


赤嶺先輩はともかく、満島先輩はこんなにへにゃへにゃとしているのに本当に後輩に厳しいのだろうか。些か信じがたい。
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