【完】ヴァンパイア、かなし

しかし、それにしても先輩達を上手く使うというのはどういう意味なのだろうか。


《あー、話逸れたけど、つまり、あいつらよりエルザの方が縦社会で優位になれるんだよ》


やはり、満島先輩の言うことはすぐには理解出来ない。先輩達がピラミッドの最上位にいることは良く分かっているが、それで僕まで優位に立てるとは思えない。


そんな良く分からない満島先輩の言葉に、赤嶺先輩は「成る程！」と何故か理解した声を上げた。


《あいつらは後輩だが、エルザは私達の友達だからな。あいつらは適わない》


ごく自然に赤嶺先輩がそう言ったことに、満島先輩も優しく笑っている声がする。


むずかゆい気持ちと、優しい気持ちと、そして、ぴりりと少しだけ火傷するような胸の奥の痛み。この痛みには、やはり慣れない。


《友達なんだから、お前俺の事荘司って呼べよー！》


《あ、ズルいぞ！私も和真だ。か、ず、さ！》


こんな強要、それこそこの二人はの方がズルい。嫌だなんて、思うわけが無い。