【完】ヴァンパイア、かなし
「ごめん……ぼっとしてて、何も聞いてない」
「もーしょうがないなぁエルザは!見た目と性格マイナーチェンジしてもぼんやりしてるとこは変わんない感じなんじゃん!」
クラスのリーダー的位置にいる応援団の部員がそう言うと、クラスが和やかな笑いに包まれる。
僕のファーストネームを馴れ馴れしく呼んだ事とか、ぼんやりしているだなんて思われている事とか、多分、不愉快に思うところな筈だけど、不思議と、その気持ちは湧き上がらない。
「今多数決でこのクラスは喫茶店やるって事になったじゃん?で、エルザはイケメンだって判明したから接客で良いよなって話なんだけど」
きっと、こんな提案はついこの間までの僕にはされないものだし、万が一されても断っていた事だ。
「えっと……僕、あまり体力が無いから、休み休みになって構わない、なら」
「よっしゃー!これで決定だな!うちのクラス売上一番になるぜー!」
自分でも驚いている。目立つような事を自らしようとしている自分に、驚かずにはいられない。
でも、多分大丈夫という変な自信に満ち溢れているし、この話を和真先輩や荘司先輩にしたら、驚きながらも喜ぶのだろうな、なんて思ってしまっていて。
僕の心は、温もりに焦がされて麻痺してしまったのだ。しかし、それすら、その麻痺すら、心地良い。
「もーしょうがないなぁエルザは!見た目と性格マイナーチェンジしてもぼんやりしてるとこは変わんない感じなんじゃん!」
クラスのリーダー的位置にいる応援団の部員がそう言うと、クラスが和やかな笑いに包まれる。
僕のファーストネームを馴れ馴れしく呼んだ事とか、ぼんやりしているだなんて思われている事とか、多分、不愉快に思うところな筈だけど、不思議と、その気持ちは湧き上がらない。
「今多数決でこのクラスは喫茶店やるって事になったじゃん?で、エルザはイケメンだって判明したから接客で良いよなって話なんだけど」
きっと、こんな提案はついこの間までの僕にはされないものだし、万が一されても断っていた事だ。
「えっと……僕、あまり体力が無いから、休み休みになって構わない、なら」
「よっしゃー!これで決定だな!うちのクラス売上一番になるぜー!」
自分でも驚いている。目立つような事を自らしようとしている自分に、驚かずにはいられない。
でも、多分大丈夫という変な自信に満ち溢れているし、この話を和真先輩や荘司先輩にしたら、驚きながらも喜ぶのだろうな、なんて思ってしまっていて。
僕の心は、温もりに焦がされて麻痺してしまったのだ。しかし、それすら、その麻痺すら、心地良い。