【完】ヴァンパイア、かなし
「エルザは良い子だな。よしよし」
そんな僕の心のひりひりなんてつゆ知らず、和真先輩はその笑みを絶やさないまま僕の金色の髪の毛に触れた。
「わ……!想像以上に柔らかい」
そうやって素直に驚く顔や、触れられた場所から伝わる温もりに、わっと全身が熱くなって、息が苦しくなる。
それと同時に、最近僕をどうしても乗っ取りたくてしょうがない僕の中の化け物が、彼女の全てを欲しているのが分かった。
どうして騒ぐの。僕は君には、化け物にはなりたくないんだ。せっかく、僕は人として歩み始めたというのに。
息が上手くできない。苦しい。だけど、和真先輩の指先は、離れて欲しくない。
「エルザ?どうした?少し、息が荒いぞ」
「はっ……す、みません。なんだか、あまり体調が優れないんです、最近。ありがとう、ございます」
僕の異変にちゃんと気付いてくれる和真先輩の優しい表情に、素直に感謝を述べると、僕の顔も偽りのない微笑みが生まれた。
苦しくても、化け物に内側からじわじわと喰われていたとしても、僕は、幸せを感じることが出来ている。それだけで、どれだけ満足な事だろう。
そんな僕の心のひりひりなんてつゆ知らず、和真先輩はその笑みを絶やさないまま僕の金色の髪の毛に触れた。
「わ……!想像以上に柔らかい」
そうやって素直に驚く顔や、触れられた場所から伝わる温もりに、わっと全身が熱くなって、息が苦しくなる。
それと同時に、最近僕をどうしても乗っ取りたくてしょうがない僕の中の化け物が、彼女の全てを欲しているのが分かった。
どうして騒ぐの。僕は君には、化け物にはなりたくないんだ。せっかく、僕は人として歩み始めたというのに。
息が上手くできない。苦しい。だけど、和真先輩の指先は、離れて欲しくない。
「エルザ?どうした?少し、息が荒いぞ」
「はっ……す、みません。なんだか、あまり体調が優れないんです、最近。ありがとう、ございます」
僕の異変にちゃんと気付いてくれる和真先輩の優しい表情に、素直に感謝を述べると、僕の顔も偽りのない微笑みが生まれた。
苦しくても、化け物に内側からじわじわと喰われていたとしても、僕は、幸せを感じることが出来ている。それだけで、どれだけ満足な事だろう。