【完】ヴァンパイア、かなし

「細いのに片端広いんだねー」


「わー！股下長い！他の男子とは造りが違う」


なんて、場が華やぐような明るい声でこの女子達が話すことを、僕は同級生になって半年も経った今、初めて知った。


「おいコラァ！そこの女子達！聞こえてるからな！」


「だってホントの事だもん」


「エルザ股下何センチなのー？」


わらわらと集まるクラスメイト達にはまだ慣れないけれど、僕の踏んだ一歩は相当大きくて。


今までの僕は、知らない事を知ろうともしていなかった。


でも、和真先輩と荘司先輩が強引に引っ張り出してくれたこの世界の知らない事は、知りもしないくせに煩わしいと思っていた以前の僕に教えてあげたいくらい、幸せに満ちている。