【完】ヴァンパイア、かなし
でも、幸せを知る度に、怖くなる。


ずくん、と全身が途端に痛み出し、目の前がゆらゆらと眩んで行く。


「……うっ!」


痛みと立ち眩みに襲われて立っていられなくなった僕は、よろめき地面へ膝を突いた。


「エルザ君!?」


「うわ、おい大丈夫かよ!」


崩れ落ちた僕に、クラスメイト達は駆け寄り声をかけ、僕に肩を貸して立ち上がらせてくれる者もいて。


「軽っ!エルザ、歩けるか?何なら担いでやろうか?」


「だい、じょうぶ。ありがとう」


僕を蝕む何か、お願いだから僕の幸せを奪わないで。


やっと僕は日の光を知った。言葉のひとつひとつの本当の意味を知り始めた。


それと引き換えにじわじわとミミズ腫れが広がり、いつか体の全てを焼き焦がされたとしてもいい。それが「いつか」であって「今」で無ければ、それで。
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