幼馴染みはイジワル課長
プロポーズ
「うー朝はまだ結構冷えるね」
「もう11月だしな」
あれから数週間後。季節はすっかり冬に近づいていた。
婚約した私達は無事に両家の挨拶も済み、うちの両親も碧との同棲を認めてくれた。
一番驚いていたのは碧のご両親で、私達が付き合っていることも知らなかったらしく、碧のお母さんの桜さんは涙を流して喜んでくれた。
私が碧のマンションへの引越しも来週に決まり、今日は早起きして碧と仕事へ行く前に梨絵の墓参りに来たのだ。
定期的にいつも梨絵に会いに行くのと、私達が婚約した報告をする為でもあった。
「私が退院して来て以来、しばらく来れなかったもんね」
「そうだな」
梨絵が眠る墓に水をかけて花を添え、線香に火をつけた後…私と碧は手を合わせて目を閉じた。
梨絵…
私は碧と婚約したよ!
今すごく幸せなのは梨絵のおかげです。
本当にありがとうございます。
これからも見守っていて下さい…
心の中でそう唱えたあと目を開けて手を下げると、碧も目を開けていた。
「ちゃんと報告した?」
「うん、碧は?」
「したよ」
墓の前で碧とこんな会話してたら、梨絵に「うざい」とか言われかねないわ。
でもこんなふうに梨絵の墓参りをして、明るい気持ちでいられる日が来るなんて…思ってもいなかったなぁ。
あの事故の時に、梨絵が私に会いに来てくれたおかげで私と碧の梨絵に対する気持ちが変わったんだよね…
本当にありがとう、梨絵。
「さて。まだ少し早いから、たまには朝飯でも食うか」
「うん!」
やったー!
碧と出勤前の朝食なんて…嬉しすぎるっ♡
「じゃあね、梨絵!また来るよ」
「またな」
私達は霊園を出て、バスで駅まで向かうと駅前のカフェに入った。
「…なにニヤニヤしんだ?」
「へ?」
目の前に座ってホットコーヒーを飲む碧に、私は呆れたような顔をされた。
「別にしてないよっ」
「してた。なんか嬉しい事でもあるのか」
「そりゃ嬉しい事ばっかりだよ。婚約したし…これから同棲だってするし♪」
あぁ、夢の同棲生活が始まるのね~
毎日ご飯とか頑張って作っちゃうよ♪
「でも山城は来週で退社するんだろ」
「あ…」
一瞬忘れていた事を碧から言われた私は、幸せ気分からガクッと現実に押し戻された気分…
「それ言わないでよ~せっかく忘れてたのに」
「そんなことだろうと思った…」
碧は呆れたように言って、またコーヒーを飲んだ。
歩未ちゃんは来週いっぱいで退社する予定で、社内では何だか良くない噂が出回っていた…
部長が奥さんと離婚調停中という事が、どこからか風の噂で会社にもバレてしまい、そのタイミングで歩未ちゃんが退社する為、社員達は歩未ちゃんと部長との間になにかあるんじゃないかと噂している。
最近は部長と歩未ちゃんはプライベートでは会っていないようだし、なんでまたあんな噂が広まったんだろう…
ずっと隠しとおして来たことなのに、ここへ来てバレちゃうなんて…
これから2人で頑張って行こうとしてるのに、かわいそうだよ。
「ま、山城もあと少しの辛抱だな。辞めたらもう関係ないんだし…何かあったらお前が守ってやれよな」
「うん!もちろんだよ」
私は唇を噛み締めたあと、頼んだマフィンを口に頬ぼった。
「それはそうと…ずっと前から言おうと思ってたんだけど、お前なんで指輪してないの?」
「もう11月だしな」
あれから数週間後。季節はすっかり冬に近づいていた。
婚約した私達は無事に両家の挨拶も済み、うちの両親も碧との同棲を認めてくれた。
一番驚いていたのは碧のご両親で、私達が付き合っていることも知らなかったらしく、碧のお母さんの桜さんは涙を流して喜んでくれた。
私が碧のマンションへの引越しも来週に決まり、今日は早起きして碧と仕事へ行く前に梨絵の墓参りに来たのだ。
定期的にいつも梨絵に会いに行くのと、私達が婚約した報告をする為でもあった。
「私が退院して来て以来、しばらく来れなかったもんね」
「そうだな」
梨絵が眠る墓に水をかけて花を添え、線香に火をつけた後…私と碧は手を合わせて目を閉じた。
梨絵…
私は碧と婚約したよ!
今すごく幸せなのは梨絵のおかげです。
本当にありがとうございます。
これからも見守っていて下さい…
心の中でそう唱えたあと目を開けて手を下げると、碧も目を開けていた。
「ちゃんと報告した?」
「うん、碧は?」
「したよ」
墓の前で碧とこんな会話してたら、梨絵に「うざい」とか言われかねないわ。
でもこんなふうに梨絵の墓参りをして、明るい気持ちでいられる日が来るなんて…思ってもいなかったなぁ。
あの事故の時に、梨絵が私に会いに来てくれたおかげで私と碧の梨絵に対する気持ちが変わったんだよね…
本当にありがとう、梨絵。
「さて。まだ少し早いから、たまには朝飯でも食うか」
「うん!」
やったー!
碧と出勤前の朝食なんて…嬉しすぎるっ♡
「じゃあね、梨絵!また来るよ」
「またな」
私達は霊園を出て、バスで駅まで向かうと駅前のカフェに入った。
「…なにニヤニヤしんだ?」
「へ?」
目の前に座ってホットコーヒーを飲む碧に、私は呆れたような顔をされた。
「別にしてないよっ」
「してた。なんか嬉しい事でもあるのか」
「そりゃ嬉しい事ばっかりだよ。婚約したし…これから同棲だってするし♪」
あぁ、夢の同棲生活が始まるのね~
毎日ご飯とか頑張って作っちゃうよ♪
「でも山城は来週で退社するんだろ」
「あ…」
一瞬忘れていた事を碧から言われた私は、幸せ気分からガクッと現実に押し戻された気分…
「それ言わないでよ~せっかく忘れてたのに」
「そんなことだろうと思った…」
碧は呆れたように言って、またコーヒーを飲んだ。
歩未ちゃんは来週いっぱいで退社する予定で、社内では何だか良くない噂が出回っていた…
部長が奥さんと離婚調停中という事が、どこからか風の噂で会社にもバレてしまい、そのタイミングで歩未ちゃんが退社する為、社員達は歩未ちゃんと部長との間になにかあるんじゃないかと噂している。
最近は部長と歩未ちゃんはプライベートでは会っていないようだし、なんでまたあんな噂が広まったんだろう…
ずっと隠しとおして来たことなのに、ここへ来てバレちゃうなんて…
これから2人で頑張って行こうとしてるのに、かわいそうだよ。
「ま、山城もあと少しの辛抱だな。辞めたらもう関係ないんだし…何かあったらお前が守ってやれよな」
「うん!もちろんだよ」
私は唇を噛み締めたあと、頼んだマフィンを口に頬ぼった。
「それはそうと…ずっと前から言おうと思ってたんだけど、お前なんで指輪してないの?」