幼馴染みはイジワル課長
ブオオオン…


ミーティングと書類等々の作業をお終え私は緊張しながら課長と車に揺られ、取引先の会社に向かっていた。

これから行く会社はなんでも大手流通グループで、年々売り上げをあげている今右肩上がりの大企業だ。




「今から行く企業には以前からうちの商品を取り扱ってもらっている。今回はうちの新商品のキッチン用品のプレゼンをして、次の商品入れ替えの時に置いてもらうのが目標だ」


車を運転しながら言う課長。この前の初の外回り以来、碧は2人きりになった時だけ私の前では幼馴染みの顔を見せてくれるようになった。





「さっきも言ったが今日お前は何もしなくていい。黙って俺を見ていろ」

「はい」


課長のプレゼンを見て勉強しろと言われているのはわかっている。以前課長から「俺を見て盗め」と言われたが、まさに今日のような日にちゃんと課長を見なければいけない。


わかってるのに…ドキドキしてる自分がいる。課長に「俺を見ていろ」なんて言われたからだ。



仕事とプライベートは分けなきゃいけないのにどうして分けられないの…

恋って辛いな…





「どうした?今日はおとなしいな。そんなに緊張してるのか?」


ぼーっとする私を見て課長は私の頭を片手でポンと撫でる。横目で碧を見ると、課長は私は優しい顔を向けたあと頭から手を離して、車のハンドルを握り前を向いた。


妹を見るような優しい目。大きくてごつごつとした男らしい手。綺麗で整ったその横顔も全部好き。大好き…


碧…ちょっと痩せたみたい…

ちゃんとご飯食べてるのかな?碧って自炊とかするの?


キッチンで料理とか作ってる姿とか想像出来ないかも…

まめに実家に帰るタイプでもないしな。実家に行けばお母さんの手料理食べれるけど…仕事が忙しいしからな。

心配だな…お弁当とか作って家に持って帰ったりしたら迷惑かな?

幼馴染みとして……家に…行ったりとかしたら…ダメ?一応碧が一人暮らししてるマンションは知っている。この前教えてくれたけど私の家の近くだったし…
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