幼馴染みはイジワル課長
そしてがらんとしていた会議室の席はクライアントの社員で埋まり、私の並べた資料に先に目を通す人がちはほらと見られた。
隣にいる課長は自分の腕時計を見ると、周りを見渡したあと口を開いた。
「定刻になりましたので、会議を始めさせて頂きます」
課長のその言葉で多少ざわざわしていた会議室は一気に静まり返る。そしてクライアントの社員達の目は課長に向けられた。
…………………
「質問がなければこれで会議を締めさせて頂きます。本日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございました」
数時間後。無事に会議終了。私は課長の隣にいるだけで何も出来なかったけれど、課長の会議の進め方に圧倒されていた。
スクリーンの使い方や言葉の選び方、全てが完璧で驚くことの連続。
会議って初めて見たけどこうやって始まって終わるんだ…また知らない世界を見られた気がするよ。いい勉強になったな。
当の課長はクライアントの人達と楽しそうに話している。この調子だと今回の会議はいい方向に向かうだろうな…
ま、あれでダメだったらさすがに私でも納得いかないけどね。
「ねえ君」
「はい?」
荷物を整理しながら課長をチラチラ見ていると、クライアントの男性社員が声をかけてきた。その男性は見た感じでいえば30代前半くらいで、話しやすそうな人柄の雰囲気を醸し出している。
「何でしょう?」
「君…真田くんの部下でしょ?」
「…はい、そうですけど」
歳上だしクライアントの社員だから仕方ないけど、この人なんか馴れ馴れしいな。
「良かったら連絡先交換しようよ。で、今度合コンでもどう?」
「合コンですか…?」
興味ないなぁ…でもここで拒否ったりしたら、イメージ悪くなるかな。どうしよう…
「澤村。ちょっと」
ビクッ
少し離れた所から、低くて怖い口調で私を呼ぶ声が聞こえる。恐る恐る目を向けると課長がまた鬼の形相をして私を見ていた。
「は、はいっ!」
男性社員に頭を下げて小走りで課長の元へ向かうと、課長はニコッと微笑んだ。
こ、怖…笑ってるのになんか怖い……
「申し訳ございません。この後すぐに社に戻らなければならないので」
「あ、ああそうですか!すいませんっ」
課長の鬼のオーラに気づいたのか、男性社員は逃げるように会議室から出て行った。気が付けば部屋には私と課長だけになる。
ピシッ
「痛っ」
いきなり課長にデコピンをされ、私はおでこを押さえ課長を見上げる。
「だから言っただろ。お前がそんな格好してるから誤解されてあんな誘いを受けるんだ」
「私の服装のせいですか?課長に言われた通りちゃんと直したのに…」
「うるさい。素直に謝れ」
課長は私の鼻をつまみ、左右に何度か動かす。
「い、痛いっ…ごめんなさい!」
「この先もあんな誘いに軽々しく乗るなよ」
「はい…」
別に乗ってないのにな…軽々しい態度もとってなかったし。
「なんだその顔は。言いたいことがあるならちゃんと言えよ」
「え…」
思っていることが顔に出ていたのか、課長は怖い顔をして私に顔をぐっと近づけた。
隣にいる課長は自分の腕時計を見ると、周りを見渡したあと口を開いた。
「定刻になりましたので、会議を始めさせて頂きます」
課長のその言葉で多少ざわざわしていた会議室は一気に静まり返る。そしてクライアントの社員達の目は課長に向けられた。
…………………
「質問がなければこれで会議を締めさせて頂きます。本日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございました」
数時間後。無事に会議終了。私は課長の隣にいるだけで何も出来なかったけれど、課長の会議の進め方に圧倒されていた。
スクリーンの使い方や言葉の選び方、全てが完璧で驚くことの連続。
会議って初めて見たけどこうやって始まって終わるんだ…また知らない世界を見られた気がするよ。いい勉強になったな。
当の課長はクライアントの人達と楽しそうに話している。この調子だと今回の会議はいい方向に向かうだろうな…
ま、あれでダメだったらさすがに私でも納得いかないけどね。
「ねえ君」
「はい?」
荷物を整理しながら課長をチラチラ見ていると、クライアントの男性社員が声をかけてきた。その男性は見た感じでいえば30代前半くらいで、話しやすそうな人柄の雰囲気を醸し出している。
「何でしょう?」
「君…真田くんの部下でしょ?」
「…はい、そうですけど」
歳上だしクライアントの社員だから仕方ないけど、この人なんか馴れ馴れしいな。
「良かったら連絡先交換しようよ。で、今度合コンでもどう?」
「合コンですか…?」
興味ないなぁ…でもここで拒否ったりしたら、イメージ悪くなるかな。どうしよう…
「澤村。ちょっと」
ビクッ
少し離れた所から、低くて怖い口調で私を呼ぶ声が聞こえる。恐る恐る目を向けると課長がまた鬼の形相をして私を見ていた。
「は、はいっ!」
男性社員に頭を下げて小走りで課長の元へ向かうと、課長はニコッと微笑んだ。
こ、怖…笑ってるのになんか怖い……
「申し訳ございません。この後すぐに社に戻らなければならないので」
「あ、ああそうですか!すいませんっ」
課長の鬼のオーラに気づいたのか、男性社員は逃げるように会議室から出て行った。気が付けば部屋には私と課長だけになる。
ピシッ
「痛っ」
いきなり課長にデコピンをされ、私はおでこを押さえ課長を見上げる。
「だから言っただろ。お前がそんな格好してるから誤解されてあんな誘いを受けるんだ」
「私の服装のせいですか?課長に言われた通りちゃんと直したのに…」
「うるさい。素直に謝れ」
課長は私の鼻をつまみ、左右に何度か動かす。
「い、痛いっ…ごめんなさい!」
「この先もあんな誘いに軽々しく乗るなよ」
「はい…」
別に乗ってないのにな…軽々しい態度もとってなかったし。
「なんだその顔は。言いたいことがあるならちゃんと言えよ」
「え…」
思っていることが顔に出ていたのか、課長は怖い顔をして私に顔をぐっと近づけた。