幼馴染みはイジワル課長
「言えよ。最後までちゃんと聞いてやる」

「い、いや!別に…」


こんな怖い顔してる課長に言えるわけがない。




「今は課長じゃなく、本当の俺として言ってるんだ」

「え…」


それは…幼馴染みの碧として言ってるの…?




「前に言っただろ。お前と仕事してると調子が狂うって…だから仕事以外で俺が心配するようなことするな」

「心配…してたの?」

「当たり前だろ。変な男に引っかかって取り返しのつかないことされたらどうするんだ」



その言葉に私は多少の疑問を覚えた。少し迷ったけどここは2人きりなんだし…少しくらい本音で話してもいいよね。




「自分はどうなの…」

「何が?」

「自分だって…彼女とかいるんでしょ。年齢的にも結婚とか考えたっておかしくないじゃん」


つい言ってしまった…

男性に連絡先を聞かれていただけで私が碧に心配されるなら、私だって碧のことが気になる。





「…彼女はいない」

「嘘つかなくていいよ。碧かっこいいもん…いて当然…」

「本当にいない。恋愛なんて昔から興味無いから…さっさと片付けろよ」

「…」


そっけない口調で言い、私に背を向けて自分のパソコンを片付け始める碧。



本当なのかな…これ以上突っ込むことは出来ないけど気になるな。

でも彼女がいないと知って安心している自分もいる…そんなこと聞いてどうするんだろ。ホッとしたって意味がないことなのに…


梨絵が碧を好きだと知った日から、私はとっくに碧を諦めてるのに…
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