幼馴染みはイジワル課長
「あのチビがこんなにデカくなるのか…幼稚園行ってたあいつが今じゃ会社で働いてるんだもんな」
「どーせ今もチビですよ!碧は今も私の事子供だと思ってるかもしれないけど私だって一応大人なんだからね」
子供扱いしてもいいけど、大人になった私も幼馴染みとしてちゃんと見て欲しいな…
「知ってるよ。…桜花はもう大人だしそれにもうちゃんとした女だろ」
「…っ」
ふんと碧から目線を外していたのに、その言葉を聞いてすぐにまた碧を見つめた。
「ちゃんと見てるよ…」
「碧…」
それって…子供として見てるわけじゃないってこと、かな?
いや…違うか。きっとお兄ちゃんみたいな感覚で言ってるんだろうな…
「もう子供じゃないって…ちゃんとわかってる…」
薄暗い中でうっすらと見える碧の顔が、とても優しい事に気が付いた。
これは…どういう意味の顔だろう…いつものことだけど碧はやっぱり何考えてるのかわからない…
「でもお前を襲うなんてことは100%ないから」
「うっ…だからわかってるってば!」
「アハハ」
何考えてるかわからなくてもいいや。こうやって碧と笑い合えればいい…
わからない方がいいのかもしれないな…わかってしまったら傷つくって事もある。
「お前んち…飲み物とかあんの?」
「常に何かしらあるよ。お父さんのビールとか日本酒とか…あと芋焼酎。ジュースだってあるし」
「芋いいな。新しいの買って返すから載みたい」
「お返しなんていいよ。碧が飲んだって言えばお父さん怒らないよ」
元々お父さんはあんまり怒らない人だから、そんな事でいちいち怒るとは思えない…
「でも…夫婦の旅行中に俺が桜花の家に泊まったなんて聞けばさすがにおじさんも怒るだろうな」
「そう…かな?碧だったら怒らないんじゃない?」
幼馴染みだし…それに今じゃ会社の上司だってことも知ってるし。碧が同じ会社だって知って両親は内心ホッとしてるらしい。
「ま、いいか。お前に何かあるよりもおじさんに怒られた方がマシだ」
「…」
私は嬉しくて子供みたいに思わず碧の手を握り少し早足で引っ張った。
「…桜花」
「今日だけいいでしょ?子供の時みたいに歩こうよ!」
なんかね、今日再確認できた気がするの。碧は私の幼馴染みのお兄ちゃんだって…
それがね。すっごく嬉しいんだ。
「…そうだな」
少し驚いた顔を見せた後、碧はすぐに笑顔になり笑った。私も笑顔を返して碧の手を握り返した。
ずっと碧を好きでいちゃダメかな…
ねえ…梨絵…
「あれ?」
「どうした?」
自宅が見えてきた時…うちの前に人影が見えて私は思わず碧から手を離してその人影に小走りで近寄った。
「桜花?」
後ろから碧が私を呼ぶ声がしたけれど、私はその人影が誰だかわかってしまった…
「…歩未…ちゃん?」
うちの塀のコンクリートの壁にもたれ掛かり、下をうつむいているのは歩未ちゃんだった。私は歩未ちゃんの顔を覗き込むように声をかける。
歩未ちゃんはそっと顔を上げると、魂が抜けたような顔をして私を見る…
「桜花…ちゃん…」
「どうしたの?何かあったの?」
薄着のままで地面に転がるように置いてあるカバン…歩未ちゃんに何かあったのは明らかだった。
「うぅ…わぁあああっ…」
「歩未ちゃん?」
その場に突然泣き崩れる歩未ちゃんを、私は支えるように抱きしめた。
「部長とっ…別れた………」
「え…」
「フラれ、たっ…」
「…!」
歩未ちゃんはうわんうわん泣き始め、その泣き声が周りに響きわたっていた…
「どーせ今もチビですよ!碧は今も私の事子供だと思ってるかもしれないけど私だって一応大人なんだからね」
子供扱いしてもいいけど、大人になった私も幼馴染みとしてちゃんと見て欲しいな…
「知ってるよ。…桜花はもう大人だしそれにもうちゃんとした女だろ」
「…っ」
ふんと碧から目線を外していたのに、その言葉を聞いてすぐにまた碧を見つめた。
「ちゃんと見てるよ…」
「碧…」
それって…子供として見てるわけじゃないってこと、かな?
いや…違うか。きっとお兄ちゃんみたいな感覚で言ってるんだろうな…
「もう子供じゃないって…ちゃんとわかってる…」
薄暗い中でうっすらと見える碧の顔が、とても優しい事に気が付いた。
これは…どういう意味の顔だろう…いつものことだけど碧はやっぱり何考えてるのかわからない…
「でもお前を襲うなんてことは100%ないから」
「うっ…だからわかってるってば!」
「アハハ」
何考えてるかわからなくてもいいや。こうやって碧と笑い合えればいい…
わからない方がいいのかもしれないな…わかってしまったら傷つくって事もある。
「お前んち…飲み物とかあんの?」
「常に何かしらあるよ。お父さんのビールとか日本酒とか…あと芋焼酎。ジュースだってあるし」
「芋いいな。新しいの買って返すから載みたい」
「お返しなんていいよ。碧が飲んだって言えばお父さん怒らないよ」
元々お父さんはあんまり怒らない人だから、そんな事でいちいち怒るとは思えない…
「でも…夫婦の旅行中に俺が桜花の家に泊まったなんて聞けばさすがにおじさんも怒るだろうな」
「そう…かな?碧だったら怒らないんじゃない?」
幼馴染みだし…それに今じゃ会社の上司だってことも知ってるし。碧が同じ会社だって知って両親は内心ホッとしてるらしい。
「ま、いいか。お前に何かあるよりもおじさんに怒られた方がマシだ」
「…」
私は嬉しくて子供みたいに思わず碧の手を握り少し早足で引っ張った。
「…桜花」
「今日だけいいでしょ?子供の時みたいに歩こうよ!」
なんかね、今日再確認できた気がするの。碧は私の幼馴染みのお兄ちゃんだって…
それがね。すっごく嬉しいんだ。
「…そうだな」
少し驚いた顔を見せた後、碧はすぐに笑顔になり笑った。私も笑顔を返して碧の手を握り返した。
ずっと碧を好きでいちゃダメかな…
ねえ…梨絵…
「あれ?」
「どうした?」
自宅が見えてきた時…うちの前に人影が見えて私は思わず碧から手を離してその人影に小走りで近寄った。
「桜花?」
後ろから碧が私を呼ぶ声がしたけれど、私はその人影が誰だかわかってしまった…
「…歩未…ちゃん?」
うちの塀のコンクリートの壁にもたれ掛かり、下をうつむいているのは歩未ちゃんだった。私は歩未ちゃんの顔を覗き込むように声をかける。
歩未ちゃんはそっと顔を上げると、魂が抜けたような顔をして私を見る…
「桜花…ちゃん…」
「どうしたの?何かあったの?」
薄着のままで地面に転がるように置いてあるカバン…歩未ちゃんに何かあったのは明らかだった。
「うぅ…わぁあああっ…」
「歩未ちゃん?」
その場に突然泣き崩れる歩未ちゃんを、私は支えるように抱きしめた。
「部長とっ…別れた………」
「え…」
「フラれ、たっ…」
「…!」
歩未ちゃんはうわんうわん泣き始め、その泣き声が周りに響きわたっていた…