幼馴染みはイジワル課長
落ち着いたトーンで話す歩未ちゃんの目には、うっすらと涙が滲んでいた。
「昨日夜中に呼び出されて会いにいったら…『もう別れよう』って言われたの。突然でびっくりして逃げて帰って来て…部長に会うのが怖くて今日は会社に行けなかったんだ……そしたらさっき部長から電話があって…『奥さんの所戻るから別れたい』ってハッキリ言われたの…」
そうだったの…たった1日にそんな事があったなんて…
やっぱり昼間歩未ちゃんに連絡すれば良かった…そうしたらもっと早く話聞けたかもしれないのに…
「電話を切った瞬間…目の前が真っ暗になって…どうしたらいいのかわからなかった。気が付いたら桜花ちゃんの家に来ててインターフォン鳴らしても誰もいなかったんだけど…その場から動けなくて…」
「連絡してくれば良かったのに…」
「部長と電話を切って財布とかだけもって家を出たからスマホ家に置いてきちゃった…」
「そっか…」
部長から別れ話を聞かされたスマホを持っていくのは辛いよね。
「そういえば…さっき真田課長と一緒じゃなかった?」
泣きながらあれ?っと思い出したように言う歩未ちゃん。
「え、ああ…うん!私の初プレゼンのお祝いにちょっと飲んでたんだよね~」
「そうだったの…会議どうだった?」
「まあ色々あったけどとりあえず成功したよ!」
「良かったね!」
ニコッと笑う歩未ちゃんに、私は碧のことを気づかれないように誤魔化した。
「課長わざわざ家まで送ってくれたんだね。厳しい人かと思ってたけど優しいんだ…」
碧の印象が変わった様子の歩未ちゃんに、私は「そうだね」とボソッと言った。
「はぁ…サッパリした」
「気持ち良かったね!」
お風呂から上がった私達は、ビールやお菓子を持って私の部屋でくつろぐ。
「桜花ちゃんの部屋はいつ見てもかわいいな」
「そう?歩未ちゃんはいつ来てもそう言ってるよね~」
「ふふ…あれ?この写真…」
「ん?」
私の部屋のコルクボードに貼ってある何枚かある中の1枚の写真を見て、歩未ちゃんは止まる。
「これ桜花ちゃん?かわいい♪前に遊びに来た時もこんな写真貼ってあったっけ?」
「…うん、たぶん」
歩未ちゃんが見つけたのは、私と碧と梨絵が3人で写っている小さい時の写真だった。
「この真ん中の人…お兄さん?桜花ちゃんてお兄さんいたっけ?」
「…」
ビールを両手で2本持つ手に一瞬力が入った。その瞬間…私のピンと張っていた糸が切れたような音がした…
「私一人っ子だから…お兄ちゃんじゃないよ。その人幼馴染みなんだ…」
「へえ~」
缶ビールを差し出すと歩未ちゃんは「ありがとう」と言って受け取る。私はその写真を見たあと、持っているビールをプシュッと開けた。
「その人ね…………真田課長なんだ…」
「え?」
表情が変った歩未ちゃんに気づきつつ、私はビールを一口飲む。
「真田課長と私は幼馴染みなの…それでね…」
もう一口ビールを飲む。
「私…ずっと前から課長の事が好き………なんだよね…」
「桜花ちゃん…」
私の目から涙が溢れ、口の中はほろ苦いビールの味がしていた…
碧への想いを言葉にしただけで涙を流してしまう自分が、本当に弱いと思った。
私は歩未ちゃんに碧の事や梨絵の事を全部話すと、そんな私を歩未ちゃんは抱きしめてくれてちらっと目を移すと歩未ちゃんも泣いていた。私は更に涙を流して私達は声を出して泣いた…
いっぱい泣いた…私は碧を…歩未ちゃんは部長を好きな分だけ泣いた…
「はぁ…」
「ふぅ…」
泣き疲れた私と歩未ちゃんは、ベットに2人で仰向けになっていた。
「ふふ」
「はは」
なんだか今の状況がおかしくなくってしまい、今度は2人で大笑いしてしばらく笑い転げた。
気がつくと缶ビールはもう何本も空けていて、食欲がないと言っていた歩未ちゃんもお菓子をばくばく食べている。
私は少し元気になった歩未ちゃんを見て、起きあがって飲みかけのビールを飲んだ。
「桜花ちゃんはさ~部長に告白しないの?」
ほろ酔いの歩未ちゃんは顔を赤くして明るい口調で言った。
「…うーん…どうだろうね。したいようなしたくないような…」
「そっかぁ」
「…でももう疲れちゃったから当たって砕けてみようかな」
今日の歩未ちゃん見てて思ったの…
何もしないで泣くよりも好きな人にフラれて泣いた方がまだいいって…もう碧に対する想いにけりを付けたい…
「嘘!いつ!?いつ告白すんの!!?」
飛び上がってテンションが上がる歩未ちゃんは、興奮している様子。
「そ、それはまだ…タイミングが合えばしたいかなって…」
「マジ~♪どうしよう~私が緊張してきたぁ~」
キャーキャーとはしゃぐ歩未ちゃんは、酔って顔が赤くなっている顔を更に赤らめた。
♪♪♪
すると、テーブルに置いて充電していた私のスマホが鳴った。
「誰だろ…」
もう1時過ぎてるのに…
スマホを手に持って画面を見ると、碧からの着信が画面に表示されていた。
「う、うそ!碧から電話っっ!」
「え!嘘!!早く出なよっ、ほら!!」
「う、うん…」
歩未ちゃんに背中を押され、私は充電器の線を抜いて電話に出た。
「昨日夜中に呼び出されて会いにいったら…『もう別れよう』って言われたの。突然でびっくりして逃げて帰って来て…部長に会うのが怖くて今日は会社に行けなかったんだ……そしたらさっき部長から電話があって…『奥さんの所戻るから別れたい』ってハッキリ言われたの…」
そうだったの…たった1日にそんな事があったなんて…
やっぱり昼間歩未ちゃんに連絡すれば良かった…そうしたらもっと早く話聞けたかもしれないのに…
「電話を切った瞬間…目の前が真っ暗になって…どうしたらいいのかわからなかった。気が付いたら桜花ちゃんの家に来ててインターフォン鳴らしても誰もいなかったんだけど…その場から動けなくて…」
「連絡してくれば良かったのに…」
「部長と電話を切って財布とかだけもって家を出たからスマホ家に置いてきちゃった…」
「そっか…」
部長から別れ話を聞かされたスマホを持っていくのは辛いよね。
「そういえば…さっき真田課長と一緒じゃなかった?」
泣きながらあれ?っと思い出したように言う歩未ちゃん。
「え、ああ…うん!私の初プレゼンのお祝いにちょっと飲んでたんだよね~」
「そうだったの…会議どうだった?」
「まあ色々あったけどとりあえず成功したよ!」
「良かったね!」
ニコッと笑う歩未ちゃんに、私は碧のことを気づかれないように誤魔化した。
「課長わざわざ家まで送ってくれたんだね。厳しい人かと思ってたけど優しいんだ…」
碧の印象が変わった様子の歩未ちゃんに、私は「そうだね」とボソッと言った。
「はぁ…サッパリした」
「気持ち良かったね!」
お風呂から上がった私達は、ビールやお菓子を持って私の部屋でくつろぐ。
「桜花ちゃんの部屋はいつ見てもかわいいな」
「そう?歩未ちゃんはいつ来てもそう言ってるよね~」
「ふふ…あれ?この写真…」
「ん?」
私の部屋のコルクボードに貼ってある何枚かある中の1枚の写真を見て、歩未ちゃんは止まる。
「これ桜花ちゃん?かわいい♪前に遊びに来た時もこんな写真貼ってあったっけ?」
「…うん、たぶん」
歩未ちゃんが見つけたのは、私と碧と梨絵が3人で写っている小さい時の写真だった。
「この真ん中の人…お兄さん?桜花ちゃんてお兄さんいたっけ?」
「…」
ビールを両手で2本持つ手に一瞬力が入った。その瞬間…私のピンと張っていた糸が切れたような音がした…
「私一人っ子だから…お兄ちゃんじゃないよ。その人幼馴染みなんだ…」
「へえ~」
缶ビールを差し出すと歩未ちゃんは「ありがとう」と言って受け取る。私はその写真を見たあと、持っているビールをプシュッと開けた。
「その人ね…………真田課長なんだ…」
「え?」
表情が変った歩未ちゃんに気づきつつ、私はビールを一口飲む。
「真田課長と私は幼馴染みなの…それでね…」
もう一口ビールを飲む。
「私…ずっと前から課長の事が好き………なんだよね…」
「桜花ちゃん…」
私の目から涙が溢れ、口の中はほろ苦いビールの味がしていた…
碧への想いを言葉にしただけで涙を流してしまう自分が、本当に弱いと思った。
私は歩未ちゃんに碧の事や梨絵の事を全部話すと、そんな私を歩未ちゃんは抱きしめてくれてちらっと目を移すと歩未ちゃんも泣いていた。私は更に涙を流して私達は声を出して泣いた…
いっぱい泣いた…私は碧を…歩未ちゃんは部長を好きな分だけ泣いた…
「はぁ…」
「ふぅ…」
泣き疲れた私と歩未ちゃんは、ベットに2人で仰向けになっていた。
「ふふ」
「はは」
なんだか今の状況がおかしくなくってしまい、今度は2人で大笑いしてしばらく笑い転げた。
気がつくと缶ビールはもう何本も空けていて、食欲がないと言っていた歩未ちゃんもお菓子をばくばく食べている。
私は少し元気になった歩未ちゃんを見て、起きあがって飲みかけのビールを飲んだ。
「桜花ちゃんはさ~部長に告白しないの?」
ほろ酔いの歩未ちゃんは顔を赤くして明るい口調で言った。
「…うーん…どうだろうね。したいようなしたくないような…」
「そっかぁ」
「…でももう疲れちゃったから当たって砕けてみようかな」
今日の歩未ちゃん見てて思ったの…
何もしないで泣くよりも好きな人にフラれて泣いた方がまだいいって…もう碧に対する想いにけりを付けたい…
「嘘!いつ!?いつ告白すんの!!?」
飛び上がってテンションが上がる歩未ちゃんは、興奮している様子。
「そ、それはまだ…タイミングが合えばしたいかなって…」
「マジ~♪どうしよう~私が緊張してきたぁ~」
キャーキャーとはしゃぐ歩未ちゃんは、酔って顔が赤くなっている顔を更に赤らめた。
♪♪♪
すると、テーブルに置いて充電していた私のスマホが鳴った。
「誰だろ…」
もう1時過ぎてるのに…
スマホを手に持って画面を見ると、碧からの着信が画面に表示されていた。
「う、うそ!碧から電話っっ!」
「え!嘘!!早く出なよっ、ほら!!」
「う、うん…」
歩未ちゃんに背中を押され、私は充電器の線を抜いて電話に出た。