幼馴染みはイジワル課長
私はスマホを両手で持ち、目を見開いて画面に顔をぐっと近づけた。




{起きたら連絡して。



LINEをして来たのは碧でその一言を朝の9時過ぎに私に送って来ている。私は部屋を飛び出して一階へ駆け下りると階段を降りたすぐ横の壁にしゃがみ込み、震える指でスマホ動かして碧に電話した。



プルルル…




スマホから呼び出し音が鳴る。

緊張して胸は破裂しそう。それにスマホを持つ手も口もガタガタと震えた。





プルルル…ツッ…「…もしもし」



碧が電話に出る。昨日よりも声が低く朝だからか少し枯れているように聞こえる。





「あ、もしもし…おはよう!今起きた…」

「はよ。つってももうすぐ昼だけど」

「そうだね…ハハ」


緊張して話し方も笑い方もぎこちなくなってしまう。自分から碧に電話したのに今更何から話せばいいのか混乱する。





「今からちょっと出て来れるか?」

「え…今から?」


出て来れるかって…どういう意味?




「うん。山城は?」

「まだ寝てるけど…」

「ならお前だけでいい。10分後に桜花の家の近くのコンビニにいるから」

「え、あ…ちょっと!」


プツンッ…ツーツー…



電話が切れると、私は頭が真っ白になりながら数秒間その場で立ち尽くす。



し、支度しなきゃっ!!


バッとスイッチが入り私は2階へ駆け上がり自分の部屋のドアをそっと開けた。歩未ちゃんはまだ寝ていて物音を立てないようにして着替えと荷物をまとめると、また部屋を出て一階へ行き服を着替えた。



10分後って早過ぎるよ~

走って洗面所へ行って歯ブラシを口に入れ、私は歯を磨きながら洗面所の鏡を見て髪を整えた。ノーメイクのまま玄関に直行して靴を履き家を飛び出した。




碧と電話を切ってから何分経ったかわからない。でもとにかく走らなきゃ!

碧の部下である以上遅刻とかは絶対したくない。




「ハァハァ」


待ち合わせのコンビニ目指してとりあえず走る私…


それにても朝から呼び出したりして、碧どうしたんだろう…何かあったのかな?なんにしても今日は休みなのに碧に会えることが嬉しい!早く会いたいな~



家から5分程のところにあるコンビニが見えてくると、私は走るのを辞め早歩きをしてコンビニを目指す。

もう6月になるからか、少し体を動かしただけでもジメジメしていて汗がじっとりで出てくる。




「あ…」


カバンからハンカチを出して首元の汗を拭きながらコンビニへ近づいていくと、コンビニの外でタバコを吸っている碧が見えた。

かなり久しぶりに見る碧の私服姿にドキドキする…碧は白いポロシャツとデニムの着こなしで、爽やかな色の組み合わせで清潔感のある格好をしていた。




かっこいい…スーツも似合ってるけど私服もかなりいい!写メ撮りたいくらいだなぁ…



少し離れた場所から碧に見とれていると、碧が私に気づいてタバコの火を消してこっちに近づいてくる。
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