幼馴染みはイジワル課長
物心ついたときから碧と知り合ってるから…少なくとも20年以上か。
そう考えると長いなぁ…幼馴染みというよりももう家族みたいな関係だな。
そんな人に近々告白しようとしてるのか…妹同然の私に「好き」なんて言われたら碧はどんな反応するだろう…
それを考えると怖いけどもう決めたから今更辞めるわけにはいかない…だけど告白するチャンスなんて巡ってくるのかな…
2人きりになれたとしても私の中のどこか怖がってしまう…そんなこと考えたらいつになったって告白なんてできないのに…
「お前も落ち着いたみたいだしそろそろ行くか」
「うん…」
碧は吸いかけのタバコを私に見せるように近づけて言った。私は頷いたあと残りの缶の紅茶を一気に飲み干した。
もう大丈夫…非現実の刺激的な世界から、とりあえず抜け出して自分の現実の世界に戻ろう…
しっかりしないと…もう少し大人にならないとダメだ。
友達の不倫恋愛を目の当たりにしたからって…いちいち泣いてたらキリがないし、そのたびに仕事をサボったりしてられない。それに碧にだって迷惑かけたくない…
碧にとって私は幼馴染みの妹の子供のままでもういたくないのかも…大人の女性として見られたいとは大袈裟だけど…少しでも対等に見られたい…
告白したって恋人にはなれないのはわかってるけど…そのあとはもう子供扱いして欲しくないな。
幼馴染みのお兄ちゃんとしての碧も好きだけど…私は1人の男として碧を好きになったから…
だからせめて碧には私を1人の人間として見ていて欲しい…私は幼馴染みの桜花じゃなくて…
あなたの部下の「澤村 桜花」だって…
「これ捨ててきて」
碧は空になった缶を私に差し出すと、ポケットから車の鍵を出す。
「最後はパシリに使うんだ」
さっきまでは優しかったのに…今日は飲み物係やってくれるみたいな事言ってなかった?
「飲み物係はもう卒業」
「フフ…」
「お前に譲るよ。飲み物係は俺には務まらない」
「あはは」
2人にしかわからない会話がとても心地いい…私が碧に想いを伝えたあとも…またこんなふうに笑い合いたい…
「桜花ちゃん!」
課長と会社に戻ると、オフィスに入るなり資料を抱えた歩未ちゃんが心配そうに私に駆け寄ってくる。
「歩未ちゃん…」
「遅かったね…何かあったんじゃないかって心配しちゃった…」
何かあったはあったけど…歩未ちゃんには言えるわけない。
「ちょっとね…帰りの道路が混んでて」
「そっか…ならよかった」
安心したような顔をすると、歩未ちゃんは自分のデスクに資料をドサッと置いた。私も自分のデスクに腰掛けふぅと一息つく。
部長の本当の気持ちを知ってるのは、私と碧だけ…一番に知っていて欲しいのは歩未ちゃんなのにね…
すごく複雑な気持ち…この気持ちを押さえ込んだまま、私はこのままずっと普通でいられるかな…
そう考えると長いなぁ…幼馴染みというよりももう家族みたいな関係だな。
そんな人に近々告白しようとしてるのか…妹同然の私に「好き」なんて言われたら碧はどんな反応するだろう…
それを考えると怖いけどもう決めたから今更辞めるわけにはいかない…だけど告白するチャンスなんて巡ってくるのかな…
2人きりになれたとしても私の中のどこか怖がってしまう…そんなこと考えたらいつになったって告白なんてできないのに…
「お前も落ち着いたみたいだしそろそろ行くか」
「うん…」
碧は吸いかけのタバコを私に見せるように近づけて言った。私は頷いたあと残りの缶の紅茶を一気に飲み干した。
もう大丈夫…非現実の刺激的な世界から、とりあえず抜け出して自分の現実の世界に戻ろう…
しっかりしないと…もう少し大人にならないとダメだ。
友達の不倫恋愛を目の当たりにしたからって…いちいち泣いてたらキリがないし、そのたびに仕事をサボったりしてられない。それに碧にだって迷惑かけたくない…
碧にとって私は幼馴染みの妹の子供のままでもういたくないのかも…大人の女性として見られたいとは大袈裟だけど…少しでも対等に見られたい…
告白したって恋人にはなれないのはわかってるけど…そのあとはもう子供扱いして欲しくないな。
幼馴染みのお兄ちゃんとしての碧も好きだけど…私は1人の男として碧を好きになったから…
だからせめて碧には私を1人の人間として見ていて欲しい…私は幼馴染みの桜花じゃなくて…
あなたの部下の「澤村 桜花」だって…
「これ捨ててきて」
碧は空になった缶を私に差し出すと、ポケットから車の鍵を出す。
「最後はパシリに使うんだ」
さっきまでは優しかったのに…今日は飲み物係やってくれるみたいな事言ってなかった?
「飲み物係はもう卒業」
「フフ…」
「お前に譲るよ。飲み物係は俺には務まらない」
「あはは」
2人にしかわからない会話がとても心地いい…私が碧に想いを伝えたあとも…またこんなふうに笑い合いたい…
「桜花ちゃん!」
課長と会社に戻ると、オフィスに入るなり資料を抱えた歩未ちゃんが心配そうに私に駆け寄ってくる。
「歩未ちゃん…」
「遅かったね…何かあったんじゃないかって心配しちゃった…」
何かあったはあったけど…歩未ちゃんには言えるわけない。
「ちょっとね…帰りの道路が混んでて」
「そっか…ならよかった」
安心したような顔をすると、歩未ちゃんは自分のデスクに資料をドサッと置いた。私も自分のデスクに腰掛けふぅと一息つく。
部長の本当の気持ちを知ってるのは、私と碧だけ…一番に知っていて欲しいのは歩未ちゃんなのにね…
すごく複雑な気持ち…この気持ちを押さえ込んだまま、私はこのままずっと普通でいられるかな…