幼馴染みはイジワル課長
社内恋愛
「ハァハァ…」
翌日。私はいつもより早く家を出て、目的地に向かって急いでいた。
履いているヒールと、肩にかけている大きな仕事用のカバンが走るスピードを緩める。おまけに初夏で汗ばむ陽気で、せっかくのメイクがもう汗でとれそうだ。
「あ、桜花ちゃーん!おはよー」
会社近くの駅前に、スーツを着た歩未ちゃんが私に気づいて手を振る。
「ごめーん!待った??」
息を切らしながら歩未ちゃんに近づく私。歩未ちゃんは耳にしていたイヤホンを外した。
「ううん、私も今来たところだよ。じゃあ行こうか♪」
「うん!」
私達はそこからほど近いカフェに入った。
今朝は歩未ちゃんと早めに待ち合わせして、たまには朝食を食べてから会社に行こうということになった。
昨日夜遅くに歩未ちゃんから誘われたのだけれど、久しぶりということもあるし私は歩未ちゃんに報告することもあるから、私は迷わずOKした。
「嘘…本当っ!!!?」
カフェに入ってそれぞれ注文を終えて一息ついた時、私は碧と付き合うことになったことを早速歩未ちゃんに報告した。
歩未ちゃんは目を見開いて驚き、大きな声を出す。
「う、うん…そうなの…」
へへへと笑う私は、すごく幸せな気持ち。
今までは友達から彼氏が出来た報告を受ける側だったけれど、今は私がする側にいる。
いつも羨ましいなぁと思っていたから、今とっても嬉しい!友達に報告するのってこんな気持ちなんだね。
「私もね、昨日はなんかあるんじゃないかって思ってたんだよね。だって2人きりで残業なんてラブな展開がないわけないよ!」
「そ、そうかなぁ」
目をキラキラさせる歩未ちゃんに、私はさっきから顔が緩みっぱなし。
「良かったね、おめでとう!」
「ありがとう」
自分のことのように喜んでくれる友達の存在が、碧と付き合えたことと同じくらい嬉しい。
近々、杏南にも話さないとな。連絡してみよう…
「いいなぁー…本当に好きな人と付き合えるなんて羨ましいよ」
アイスコーヒーを飲む歩未ちゃんの顔は、なんだか切ない。
「…歩未ちゃんは最近どうなの?何か変わったことはあった?」
「ううん…特にないかな。あ、でも今度合コンに誘われてるから、ちょっと行ってみようかな~って思ってるんだ」
「合コン?」
歩未ちゃんが合コンに行くなんて珍しい…同窓会すら行かないって言ってたのに…
あ、でもそれは部長と付き合ってたから…
「もしかしたらいい出会いあるかもしれないしね!たまにはいいよねっ」
「…そうだね」
本当のことを言ってあげるべきなんだろうか…
部長は奥さんと別れる気でいることを…私と碧だけが知っている。
今も部長の気持ちは歩未ちゃんにあるし、あの時私達の前で流した部長の涙も…鮮明に覚えてる…
歩未ちゃんだって…きっとまだ部長のことを忘れたわけじゃないと思うけど、先に進もうとしてるんだよね。
部長は奥さんと別れる気はあるけど、いつになるかはわからないって言ってたし…そんな状態で歩未ちゃんに「待ってて」なんて言えないな。
先に進もうとしてるなら、止めるのはかわいそうだよ…
それでいい人が出来ればそれはそれで…になっちゃうかもな…
「彼氏出来たら紹介するね!」
「あ、うん…」
未来の幸せを夢見る歩未ちゃんを見て、胸が痛む。
部長のことはもう過去のことになってしまうんだろうか…
それを少しの悲しいと思うのは、なんでだろう…
「あ…」
朝食を済まして歩未ちゃんと会社へ向かい、エレベーターを待っている時だった…
話し声がして何気なく振り返ると、後ろにはスーツ姿の碧と部長がいた。
き、気まずい…
「お…はようございます」
「…はようございます」
私と歩未ちゃんは顔を引きつらせながら挨拶をすると、碧と部長も気まずそうな顔をした。
翌日。私はいつもより早く家を出て、目的地に向かって急いでいた。
履いているヒールと、肩にかけている大きな仕事用のカバンが走るスピードを緩める。おまけに初夏で汗ばむ陽気で、せっかくのメイクがもう汗でとれそうだ。
「あ、桜花ちゃーん!おはよー」
会社近くの駅前に、スーツを着た歩未ちゃんが私に気づいて手を振る。
「ごめーん!待った??」
息を切らしながら歩未ちゃんに近づく私。歩未ちゃんは耳にしていたイヤホンを外した。
「ううん、私も今来たところだよ。じゃあ行こうか♪」
「うん!」
私達はそこからほど近いカフェに入った。
今朝は歩未ちゃんと早めに待ち合わせして、たまには朝食を食べてから会社に行こうということになった。
昨日夜遅くに歩未ちゃんから誘われたのだけれど、久しぶりということもあるし私は歩未ちゃんに報告することもあるから、私は迷わずOKした。
「嘘…本当っ!!!?」
カフェに入ってそれぞれ注文を終えて一息ついた時、私は碧と付き合うことになったことを早速歩未ちゃんに報告した。
歩未ちゃんは目を見開いて驚き、大きな声を出す。
「う、うん…そうなの…」
へへへと笑う私は、すごく幸せな気持ち。
今までは友達から彼氏が出来た報告を受ける側だったけれど、今は私がする側にいる。
いつも羨ましいなぁと思っていたから、今とっても嬉しい!友達に報告するのってこんな気持ちなんだね。
「私もね、昨日はなんかあるんじゃないかって思ってたんだよね。だって2人きりで残業なんてラブな展開がないわけないよ!」
「そ、そうかなぁ」
目をキラキラさせる歩未ちゃんに、私はさっきから顔が緩みっぱなし。
「良かったね、おめでとう!」
「ありがとう」
自分のことのように喜んでくれる友達の存在が、碧と付き合えたことと同じくらい嬉しい。
近々、杏南にも話さないとな。連絡してみよう…
「いいなぁー…本当に好きな人と付き合えるなんて羨ましいよ」
アイスコーヒーを飲む歩未ちゃんの顔は、なんだか切ない。
「…歩未ちゃんは最近どうなの?何か変わったことはあった?」
「ううん…特にないかな。あ、でも今度合コンに誘われてるから、ちょっと行ってみようかな~って思ってるんだ」
「合コン?」
歩未ちゃんが合コンに行くなんて珍しい…同窓会すら行かないって言ってたのに…
あ、でもそれは部長と付き合ってたから…
「もしかしたらいい出会いあるかもしれないしね!たまにはいいよねっ」
「…そうだね」
本当のことを言ってあげるべきなんだろうか…
部長は奥さんと別れる気でいることを…私と碧だけが知っている。
今も部長の気持ちは歩未ちゃんにあるし、あの時私達の前で流した部長の涙も…鮮明に覚えてる…
歩未ちゃんだって…きっとまだ部長のことを忘れたわけじゃないと思うけど、先に進もうとしてるんだよね。
部長は奥さんと別れる気はあるけど、いつになるかはわからないって言ってたし…そんな状態で歩未ちゃんに「待ってて」なんて言えないな。
先に進もうとしてるなら、止めるのはかわいそうだよ…
それでいい人が出来ればそれはそれで…になっちゃうかもな…
「彼氏出来たら紹介するね!」
「あ、うん…」
未来の幸せを夢見る歩未ちゃんを見て、胸が痛む。
部長のことはもう過去のことになってしまうんだろうか…
それを少しの悲しいと思うのは、なんでだろう…
「あ…」
朝食を済まして歩未ちゃんと会社へ向かい、エレベーターを待っている時だった…
話し声がして何気なく振り返ると、後ろにはスーツ姿の碧と部長がいた。
き、気まずい…
「お…はようございます」
「…はようございます」
私と歩未ちゃんは顔を引きつらせながら挨拶をすると、碧と部長も気まずそうな顔をした。