幼馴染みはイジワル課長
「そ、そんなことないですっっ」
思いきり否定する私を見て、課長は「ふーん」と言ってデスクに肘をつく。
「…今日はお前に手伝ってもらう事はなにもない」
「…ぇ。あ、そうなんですか」
珍しいな…
今までは細かいことから雑用とパシリとか、何かしら仕事を言いつけられたのに…
「お前は請求書の整理でもしてろ」
「…わかりました」
ペコッと頭を下げ、私はトボトボと自分の席に戻る。
なによあれっ!
なんであんなに冷たいの!?全然意味わかんない…
「澤村さん大丈夫?」
完全にふてくされた状態で自分の席に戻ると、近くにいた先輩のベテラン女性社員2人に声をかけられる。
「え…?」
キョトンとしている私を見て、女性社員達はヒソヒソ声を出しながら話を続ける。
「また課長に注意されてたでしょ?」
「いつもかわいそうだなって思ってたのよ。課長って見た目は完璧だけど仕事はすごく厳しいから…」
私をかわいそうな目で見る女性社員達は、お互いに顔を見合わせて「ねえ?」と頷いた。
かわいそうって…
周りからは私ってそんなふうに思われてるの?なんか意外だな。
「大変だけど頑張ってね。何か出来ることがあったらなんでも言って」
「愚痴くらいは聞くわよ」
「はい…ありがとうございます」
私がお礼を言うと、先輩達はそれぞれ仕事に戻っていった。
まだ新人の私が碧みたいな人とペアを組んだら、普通は周りから歪まれたりするよね。女性だったら特にね…
もしかして…
碧はわざと会社では大袈裟に私に厳しくしてくれてるのかな…
私が先輩達にひがまれないように…
さっきだって…ちょっと浮かれてる私を察して、もしかしたら今日はあえて自分から私を突き放したのかもしれない…
少し冷たく見えたのはそのせいだったのかな…
うぬぼれてるわけじゃないけど、碧のことを昔から知ってるからわかる。
こういうさりげなくて細かいフォローを碧は自然にやってくれる人だってことは、私は子供の時から知ってる…
「大丈夫…?先輩になにか言われた?」
コピー機に行っていた歩未ちゃんが、デスクに戻ってくると私の様子を伺うように話しかける。
「あ、ううん。ちょっと世間話をしてただけだよ」
「そっか」
歩未ちゃんは私に笑顔を向けると、そのままパソコンに向かって仕事に戻った。
私は碧に言われた通り請求書の整理に取り掛かりながら、後ろを振り向いて仕事をする持田さんをちらっと見た。
ちゃんと話さないと…
怖いとか逃げてる場合じゃないよね…
私は気持ちを切り替えるように姿勢を整えて、仕事に取り掛かった。
碧とペアで仕事をすることが当たり前になっていたから、1人で作業をするとなんだか寂しく感じた。
私は碧の幼馴染み…
そして仕事での部下であると同時に、彼女にもなったんだ…
幼馴染みと部下の関係以上になったからには、このくらいの距離をこれからは保たないといけなんいんだよね…
社内恋愛って大変なんだな…
思っていたよりも寂しいよ…
こんなこと言ったら遠距離恋愛してる人に申し訳ないけどさ。
だけど、近距離過ぎ恋愛はそれはそれで大変なのよ…
「んー…肩こったぁ、歩未ちゃん!ランチ行こう」
「あ、うん…」
昼休みになり、私は切りのいいところで仕事を切り上げて肩をコキコキと鳴らす。
隣にいる歩未ちゃんに話しかけると、なんだか顔色が悪く元気がない。
「…どうしたの?具合悪い?」
「う、ううん!ちょっと冷えるなぁって思ってただけ」
歩未ちゃんはデスクの上の資料をまとめ、綺麗に積み上げた。
「オフィスのクーラーが強過ぎるのかな?私ロッカーにカーディガンあるから、午後はそれ羽織ったら?」
「うん、ありがとう」
思いきり否定する私を見て、課長は「ふーん」と言ってデスクに肘をつく。
「…今日はお前に手伝ってもらう事はなにもない」
「…ぇ。あ、そうなんですか」
珍しいな…
今までは細かいことから雑用とパシリとか、何かしら仕事を言いつけられたのに…
「お前は請求書の整理でもしてろ」
「…わかりました」
ペコッと頭を下げ、私はトボトボと自分の席に戻る。
なによあれっ!
なんであんなに冷たいの!?全然意味わかんない…
「澤村さん大丈夫?」
完全にふてくされた状態で自分の席に戻ると、近くにいた先輩のベテラン女性社員2人に声をかけられる。
「え…?」
キョトンとしている私を見て、女性社員達はヒソヒソ声を出しながら話を続ける。
「また課長に注意されてたでしょ?」
「いつもかわいそうだなって思ってたのよ。課長って見た目は完璧だけど仕事はすごく厳しいから…」
私をかわいそうな目で見る女性社員達は、お互いに顔を見合わせて「ねえ?」と頷いた。
かわいそうって…
周りからは私ってそんなふうに思われてるの?なんか意外だな。
「大変だけど頑張ってね。何か出来ることがあったらなんでも言って」
「愚痴くらいは聞くわよ」
「はい…ありがとうございます」
私がお礼を言うと、先輩達はそれぞれ仕事に戻っていった。
まだ新人の私が碧みたいな人とペアを組んだら、普通は周りから歪まれたりするよね。女性だったら特にね…
もしかして…
碧はわざと会社では大袈裟に私に厳しくしてくれてるのかな…
私が先輩達にひがまれないように…
さっきだって…ちょっと浮かれてる私を察して、もしかしたら今日はあえて自分から私を突き放したのかもしれない…
少し冷たく見えたのはそのせいだったのかな…
うぬぼれてるわけじゃないけど、碧のことを昔から知ってるからわかる。
こういうさりげなくて細かいフォローを碧は自然にやってくれる人だってことは、私は子供の時から知ってる…
「大丈夫…?先輩になにか言われた?」
コピー機に行っていた歩未ちゃんが、デスクに戻ってくると私の様子を伺うように話しかける。
「あ、ううん。ちょっと世間話をしてただけだよ」
「そっか」
歩未ちゃんは私に笑顔を向けると、そのままパソコンに向かって仕事に戻った。
私は碧に言われた通り請求書の整理に取り掛かりながら、後ろを振り向いて仕事をする持田さんをちらっと見た。
ちゃんと話さないと…
怖いとか逃げてる場合じゃないよね…
私は気持ちを切り替えるように姿勢を整えて、仕事に取り掛かった。
碧とペアで仕事をすることが当たり前になっていたから、1人で作業をするとなんだか寂しく感じた。
私は碧の幼馴染み…
そして仕事での部下であると同時に、彼女にもなったんだ…
幼馴染みと部下の関係以上になったからには、このくらいの距離をこれからは保たないといけなんいんだよね…
社内恋愛って大変なんだな…
思っていたよりも寂しいよ…
こんなこと言ったら遠距離恋愛してる人に申し訳ないけどさ。
だけど、近距離過ぎ恋愛はそれはそれで大変なのよ…
「んー…肩こったぁ、歩未ちゃん!ランチ行こう」
「あ、うん…」
昼休みになり、私は切りのいいところで仕事を切り上げて肩をコキコキと鳴らす。
隣にいる歩未ちゃんに話しかけると、なんだか顔色が悪く元気がない。
「…どうしたの?具合悪い?」
「う、ううん!ちょっと冷えるなぁって思ってただけ」
歩未ちゃんはデスクの上の資料をまとめ、綺麗に積み上げた。
「オフィスのクーラーが強過ぎるのかな?私ロッカーにカーディガンあるから、午後はそれ羽織ったら?」
「うん、ありがとう」