幼馴染みはイジワル課長
どうしよう…追いかけた方がいいかな。
それともトイレの外で待ってようかな…
あんまりこっちが心配し過ぎても嫌がられるかも。体調が悪い時に他人に側にいて欲しくない時もあるし…
「ぁ…」
自販機のベンチからエレベーターに目をやると、ちょうど碧と部長が2人で出て来る。ランチから帰ってきたようだ。
私に気づいた碧は部長を先にオフィスに行かせると、私にゆっくりと近づいてきた。
「1人か?」
2人きりだからか、碧は課長の仮面を外していていつもの碧に戻っていた。
朝はすごく怖かったのに…今は優しい感じだな…
あんなに朝は厳しいこと言われたのに、この数時間で何があったんだろ…てっきり持田さんのことでまだ怒ってると思ったのに…
「う…ううん。今さっきまで歩未ちゃんと一緒だったんだけど…」
「山城は?」
「トイレ。なんか体調悪いみたいんなんだ…」
私はまた女子トイレを見つめた。
「…大丈夫なのか?」
「あんまり良くないみたい…顔色もすごく悪いし、すごく辛そう…早退したら?って言ったんだけど大丈夫って言うんだよね」
絶対に辛いだろうし我慢してるのがわかるから、本当にかわいそうになっちゃう…
「辛いなら早退してもいいんだぞ?」
碧のその言葉を聞いて私がチラリと見つめると、碧は不思議そうな顔をした。
「…なんだその顔は?」
「お願い!歩未ちゃんが早退出来るように碧から部長に頼んであげてよ!」
「は?」
首を傾げる碧に私は続ける。
「歩未ちゃんが早退しないのは部長との接触を避けてるからだよ。だから無理して早退しないんだと思う」
誰かに聞かれてるとマズイので、私は小声でヒソヒソと碧に話した。
「んなの知るか。子供じゃあるまいし」
「子供じゃないけど女子なんだから!」
「はぁ?」
碧はめんどくさそうな顔をした。私は碧の腕を引っ張り必死に説得する。
「女子は仕事と恋愛を割り切れない時もあるんだよ!体調悪くても我慢して頑張っちゃったりしてさ…こう胸がキュゥーっとして…」
「そんなことはどうでもいいよ」
ガーン…!
どうでもいいって………ヒドイ!
「なんだその顔は…上司に向かって無礼な奴」
「ほ、ほめんなはい(ごめんなさい)」
碧に両頬をつままれながら話す私は、なんともマヌケな声を出してしまう…
歩未ちゃんが体調悪いときに、こんなふうにふざけてるなんてダメだよね。
だけど社内で碧とこんなふうに触れ合うことが出来てちょっと幸せかも…ごめん歩未ちゃん!
「部長に山城が具合悪いって言えばいいんだな…?」
「え、言ってくれるの???」
ため息をつながら言う碧は、仕方無いなというような顔をした。
「しょうがないだろ…我慢されて倒れられたりでもしたらこっちが大変だし」
そんなこと言ってるけど、少しは歩未ちゃんのこと心配してくれてるんだよね。
碧の優しさは私がちゃんとわかってるよ…
「俺は部長にそれとなく話しとくから、お前は山城を待っててやれ」
「うん、わかった!あ…待って碧!」
私に背を向ける碧を引き止めると、碧はクルッとこっちを振り向いた。
「ありがとね。…じゃなくて…ありがとうございました」
今は碧は上司だったんだよね。だからちゃんと敬語使わなくちゃ。
ぺこりと頭を下げると、碧は私の頭をポンと撫でた。
「夜に行く店考えとけよ」
碧はそう言って微笑むとオフィスの中に入っていった。私は自販機の側でひとり、言葉にならない感情と戦う。
あ~~かっこいいっ!
あの笑顔は反則でしょっっ
それともトイレの外で待ってようかな…
あんまりこっちが心配し過ぎても嫌がられるかも。体調が悪い時に他人に側にいて欲しくない時もあるし…
「ぁ…」
自販機のベンチからエレベーターに目をやると、ちょうど碧と部長が2人で出て来る。ランチから帰ってきたようだ。
私に気づいた碧は部長を先にオフィスに行かせると、私にゆっくりと近づいてきた。
「1人か?」
2人きりだからか、碧は課長の仮面を外していていつもの碧に戻っていた。
朝はすごく怖かったのに…今は優しい感じだな…
あんなに朝は厳しいこと言われたのに、この数時間で何があったんだろ…てっきり持田さんのことでまだ怒ってると思ったのに…
「う…ううん。今さっきまで歩未ちゃんと一緒だったんだけど…」
「山城は?」
「トイレ。なんか体調悪いみたいんなんだ…」
私はまた女子トイレを見つめた。
「…大丈夫なのか?」
「あんまり良くないみたい…顔色もすごく悪いし、すごく辛そう…早退したら?って言ったんだけど大丈夫って言うんだよね」
絶対に辛いだろうし我慢してるのがわかるから、本当にかわいそうになっちゃう…
「辛いなら早退してもいいんだぞ?」
碧のその言葉を聞いて私がチラリと見つめると、碧は不思議そうな顔をした。
「…なんだその顔は?」
「お願い!歩未ちゃんが早退出来るように碧から部長に頼んであげてよ!」
「は?」
首を傾げる碧に私は続ける。
「歩未ちゃんが早退しないのは部長との接触を避けてるからだよ。だから無理して早退しないんだと思う」
誰かに聞かれてるとマズイので、私は小声でヒソヒソと碧に話した。
「んなの知るか。子供じゃあるまいし」
「子供じゃないけど女子なんだから!」
「はぁ?」
碧はめんどくさそうな顔をした。私は碧の腕を引っ張り必死に説得する。
「女子は仕事と恋愛を割り切れない時もあるんだよ!体調悪くても我慢して頑張っちゃったりしてさ…こう胸がキュゥーっとして…」
「そんなことはどうでもいいよ」
ガーン…!
どうでもいいって………ヒドイ!
「なんだその顔は…上司に向かって無礼な奴」
「ほ、ほめんなはい(ごめんなさい)」
碧に両頬をつままれながら話す私は、なんともマヌケな声を出してしまう…
歩未ちゃんが体調悪いときに、こんなふうにふざけてるなんてダメだよね。
だけど社内で碧とこんなふうに触れ合うことが出来てちょっと幸せかも…ごめん歩未ちゃん!
「部長に山城が具合悪いって言えばいいんだな…?」
「え、言ってくれるの???」
ため息をつながら言う碧は、仕方無いなというような顔をした。
「しょうがないだろ…我慢されて倒れられたりでもしたらこっちが大変だし」
そんなこと言ってるけど、少しは歩未ちゃんのこと心配してくれてるんだよね。
碧の優しさは私がちゃんとわかってるよ…
「俺は部長にそれとなく話しとくから、お前は山城を待っててやれ」
「うん、わかった!あ…待って碧!」
私に背を向ける碧を引き止めると、碧はクルッとこっちを振り向いた。
「ありがとね。…じゃなくて…ありがとうございました」
今は碧は上司だったんだよね。だからちゃんと敬語使わなくちゃ。
ぺこりと頭を下げると、碧は私の頭をポンと撫でた。
「夜に行く店考えとけよ」
碧はそう言って微笑むとオフィスの中に入っていった。私は自販機の側でひとり、言葉にならない感情と戦う。
あ~~かっこいいっ!
あの笑顔は反則でしょっっ