幼馴染みはイジワル課長
「…ま。そういう事にしといてもいいんじゃないか?だけど後日本人達にちゃんと話しておかないとな」

「…そうだね」


ごめんなさい歩未ちゃん…

部長と歩未ちゃんは、社内では親戚ってことになっちゃいました。







「歩未ちゃん大丈夫かな…」

「部長がついてるから大丈夫だろ」


私と碧は廊下の隅に寄り、ヒソヒソと話し始める。





「部長と一緒だから心配なの。目を覚ました時に目の前に部長がいたら、きっと歩未ちゃんびっくりするよね…」


それにどう思うだろう…

2人きりにさせたのが私だってわかったら、もしかして起こり出すかもしれない。






「知るかよ。その時に何かあるかは本人達次第だろ」

「そうだけど…」

「お前な…ここは学校じゃねえんだぞ?他人の色恋心配する暇があったら仕事しろ。山城の仕事も今日はお前が引き継げよ」


碧はまた課長の仮面をかぶる。






「歩未ちゃんの仕事を引き継ぐのは構わないけど…私別にここを学校だとは思ってないからね?」

「はいはい」

「ちょっと!ちゃんと聞いてよっ」


碧のスーツの袖を掴んだ時オフィスの出入り口から持田さんと他の社員が出てきて、エレベーター付近にいる私と碧の横を通りかかった。

一瞬持田がこっちを見た気がしたけど、その目はすぐに他の方向を向き、2人は男子トイレに入って行った。



歩未ちゃんのことでてんてこ舞いだったど、持田さんともちゃんと話さないと…

碧との関係をこじらせたくないし…



隣にいる碧のことをじっと見つめながら、そんなことを考えていた私…






「いへへへへ…(痛てててて)」


すると碧はまた私の頬をつねってきた。






「痛いってばっ」

「上司にガン飛ばしてるからだ」

「もう…」


ヒリヒリして痛む頬をさする私。碧は先にオフィスの方に行ってしまい、私はすぐに後を追いかけた。






歩未ちゃんの事心配だけど…

とりあえず今は仕事をしよう…


碧の言うようにここは会社なんだからね。








「頑張らないと今日も残業になるぞ。そうなるとディナーはお預けだな」

「え゛っ…」


残業になったらディナーなし!?

そんなの絶対嫌!!


付き合って初めてのデートだもん!

ずっと夢だったんだから!!!








「私頑張るっ!残業にならないように精一杯やるからね!」


入社してからこんなに燃えた日はないといってもいい。

今日の私はひと味もふた味も違う私!生まれ変わったんだ!








「ま、せいぜい頑張れよ」


碧に頭をポンとされるともっと頑張れそうな気がする。

私は「うん!」と大きく頷いた。





オフィスに入り自分のデスクにつくと、私は目をメラメラさせてパソコンに向かう。

パソコンのデータ入力は随分と慣れてきたし、キーを打つものもかなり早くなってきたと思う。



私がここまで仕事がこなせるようになったのは、碧のおかげだ…

碧が私のパートナーになってくれてなかったら、ここまで出来るようにはなってなかったと思う。


自分の為ということもあったけど、碧に迷惑かけたくなかったし…力になりたかった。私が仕事が出来るようなれば、少しでも碧が楽になるかなって思ったし…

それと、碧に褒められたかったっていうのもあるのかもしれないな……
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