幼馴染みはイジワル課長
コンコン


すると資料室のドアがノックされて、振り返るとそこには壁に寄りかかって腕を組む碧の姿が。





「退社の時間だぞ…」


碧の顔を見たら、疲れや眠気は一気に吹っ飛び私の顔に笑顔が戻る。





「そういえば…部長から連絡あったぞ」

「うそ!なんだって!!?」

「山城は寝不足と軽い貧血でたいしたことないってさ。今病院で点滴打ってるけど、終わったら家まで送ってくって」


良かった…

心から安心したよ…だけど……






「部長と二人きりにして大丈夫かな…」


歩未ちゃんの無事を確認出来たのはいいけど、今度はそっちが心配になってきたんだけど…






「嵐の予感がするな…」

「…」


低いトーンで言う碧の言葉が胸の奥に響いて、私は思わず息をゴクリと飲んだ。

そんな私を見て碧はすっと手を差し出してくる…






「とりあえず…飯食いながら話そうか」

「碧…」


優しく微笑む碧は本物の王子様みたいに見えた…


碧の手を握ろうとした私は今の状況を思い出してすぐに手を引っ込めると、碧は不思議そうな顔をする。







「会社でこんな事してたらマズイかなって…」


どこで誰が見てるかわからないし…





「いやっ…本当はすっごく繋ぎたいんだよ??だけどさやっぱり…んっ」


碧は私が話している間に、隙をついたようにキスをしてきた。



会社で碧とキスできた…!

私にとってこれ以上の幸せはない。






「碧に仕事中にキスされた~」

「うるさい。それにもう退社時間だって言っただろ」

「そう言う事じゃなくて…あ、ちょっと待ってよ」


私の頭をコツンと叩くと碧はスタスタと先を歩いた。私は慌てて碧を追いかける…


その日の夜は夢のようなデートをして、まるでお姫様になったような気分だった。
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