幼馴染みはイジワル課長
そんな神様のような言葉をもらった私は、ウルウルと目を潤ませた。






「ま、優しいというかお前の場合…お人好しっていう方が正しいかな」

「だ、誰がお人好しよっ!」


アハハと笑う碧に私「もう~」と怒って見せた。




歩未ちゃんと部長が元サヤに戻ってくれて、心から嬉しい。

現実はおとぎ話のように甘いことだけじゃないけれど、こんな幸せの形もあるんだなって思うようにしよう…


なんか少しだけ大人になったような気分。

きっと…こういう事を目の当たりにしていくことで、大人になっていくのかな…








「あまり心配するな。今は2人でいるんだから、山城のことよりも俺のことだけ考えて欲しいんだけど…」

「あ…」


そっか。

今は碧と2人きりなんだ…


今日は会う約束してなかったのに会えたんだもん…

そんな嬉しいことはないのに、私ったらそれを忘れてたよ。







「そうだね。ごめん」


へへへと笑ってみせる私に、碧は私の頭をコツンと突っつく。




色々考えることはたくさんあるけれど、今は良かったと考えるしかないんだ。

いい方向に考えることしか…今は出来ない。それも大人になるって事なのかな…






「まだ16時か…時間平気?」

「うん!大丈夫」


腕時計を見ながら言う碧に、私は即返事をする。


碧とどこか行けるならいつだって大丈夫!






「どっか行きたいとことかないの?」

「うーん…そうだなぁ…映画とか?」


碧と映画…

きゃ♡考えるだけてニヤけそ…♡♡♡






「いいけど…ベタベタな恋愛映画とかアニメ系は勘弁してくれよ」

「えー!じゃあ何観るの?」

「アクションとかホラー」

「え…」


ホラー…?

アクションならまだしもホラーは嫌だなぁ…でも、碧と映画行けるならなんだっていいけどさ!






「ホラーは嫌だなとか思ってんだろ?」

「えっ、ああ…まあね。でもいいよ!私はなんでもいいから!」


映画の内容よりも、碧と映画に行くことの方を重視して考えよう。






「じゃあホラーで決まりな。今やってるやつすげえ怖いらしいぞ…」

「へ、へえ…」


しょ…所詮そんなの作り物でしょ?それにフィクションだし…





「お前が一切怖がらないで、最後まで映画を見られたらご褒美やるよ」

「…ご褒美って?」


何何???

めちゃめちゃ気になるんですが…







「さあな…後でのお楽しみ」


意味深な顔で微笑む碧。





「気になるじゃん!教えてよっ」

「バカ。運転してるんだから引っ張るなよ!」


碧とじゃれていると赤信号で車が止まる…






「ご褒美…何か知りたい?」

「え?」

「例えばこんなこと」

「っ」


碧が私に近づきそうつぶやくと…スキをついたようにそっとキスをした。




本当に幸せな日々。

ずっと碧と一緒にいれますよにと私は繰り返し祈った…
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