幼馴染みはイジワル課長
課長が時間に厳しいのはきっと部下達に仕事でヘマしないようにって…普段から忠告してるのかな?
ちょっと言い方はきついけど課長なりのアドバイスのような気もするな…碧はそういう人だから…
「待たせるのは恋人だけにしてね♪」
その場の雰囲気を和ませるようにちょっとお茶目に言う部長。場はしーんとなり課長がこほんと咳払いをした。
部長は恥ずかしそうにごほっと咳をすると、気持ちを切り替えたようにミーティングを仕切り始めた。私は笑いをこらえるのに必死だった…
20分後。ミーティングを終えた私は課長とオフィスに戻り、ファイルを資料室に戻したあと再び課長のデスクへ向かう。
「あの…何かやることありますか?」
「出かけるからすぐ支度しろ」
「え…外回りですか?」
仕事中にオフィスから外に出るなんて初なんですけど。
「5分後に下のロビーに集合。遅れたら置いてくぞ」
「は、はい!」
私は急いで自分のデスクに戻り、カバンを持ってスマホをスーツのポケットに入れた。
そしてオフィスを出ると、エレベーターの近くで歩未ちゃんと部長が仲良く話してるのを見かけ、内心「いいなぁ」と思いながらエレベーターのボタンを押した。
ドアが開き中に乗り込むと、後ろから課長も中に入ってくる…
「早いな」
「はい!当然です」
「…合格だ」
素っ気ない口調だったけど、ゼエゼエと息をしながら内心課長に褒められて嬉しかった。
こんなちょっとしたことで嬉しかったりへこんだりする…それはやっぱり恋してるってことなのかな…?
梨絵のことがあるのに、私は課長のそばにいてこれから毎日こんなふうに浮かれてていいんだろうか…?
私の中にはいつも碧がいて梨絵もいるんだ…それはきっとずっと変わらない…
「今日は見てるだけでいい。俺の仕事をちゃんと見ておけ」
「はい」
「覚えるところは覚えて盗めるところは盗め。盗めるんだったらの話だが…」
私よりも少し後ろに立つ課長を、私は振り返って見ることが出来なかった。
覚えることはきっとたくさんあると思うけど、盗めるところなんてあるかな?
言葉では表せないプレッシャーが、私にものすごい勢いで押し寄せていた。
「車…?」
オフィスの外に出て、課長に連れて来られたのは会社の近くにある駐車場だった。
「会社の車だ。乗れ」
「あ、私…一応免許はあるんですがペーパーで…」
「知ってる。俺が運転するからお前は助手席に座れ」
「は、はい…」
課長に言われた通り、私は助手席に乗り込みやや緊張しながらシートベルトをしめた。
碧と車に乗るなんて…子供の時に親の車に乗せてもらった以来だ。まさか碧の運転する車に乗る日が来るなんて思いもしてなかったよ。
カチ…
ブブブ…
手馴れた手つきで車にキーを指し、課長は車のエンジンを入れた。そしてシートベルトをしめてハンドルを握り車をゆっくりと走らせる。
「……」
「……」
車内は会話なし。しーんとしてるのはやっぱり気まずい…
「あの…これからどこに行くんですか?」
ちょっと言い方はきついけど課長なりのアドバイスのような気もするな…碧はそういう人だから…
「待たせるのは恋人だけにしてね♪」
その場の雰囲気を和ませるようにちょっとお茶目に言う部長。場はしーんとなり課長がこほんと咳払いをした。
部長は恥ずかしそうにごほっと咳をすると、気持ちを切り替えたようにミーティングを仕切り始めた。私は笑いをこらえるのに必死だった…
20分後。ミーティングを終えた私は課長とオフィスに戻り、ファイルを資料室に戻したあと再び課長のデスクへ向かう。
「あの…何かやることありますか?」
「出かけるからすぐ支度しろ」
「え…外回りですか?」
仕事中にオフィスから外に出るなんて初なんですけど。
「5分後に下のロビーに集合。遅れたら置いてくぞ」
「は、はい!」
私は急いで自分のデスクに戻り、カバンを持ってスマホをスーツのポケットに入れた。
そしてオフィスを出ると、エレベーターの近くで歩未ちゃんと部長が仲良く話してるのを見かけ、内心「いいなぁ」と思いながらエレベーターのボタンを押した。
ドアが開き中に乗り込むと、後ろから課長も中に入ってくる…
「早いな」
「はい!当然です」
「…合格だ」
素っ気ない口調だったけど、ゼエゼエと息をしながら内心課長に褒められて嬉しかった。
こんなちょっとしたことで嬉しかったりへこんだりする…それはやっぱり恋してるってことなのかな…?
梨絵のことがあるのに、私は課長のそばにいてこれから毎日こんなふうに浮かれてていいんだろうか…?
私の中にはいつも碧がいて梨絵もいるんだ…それはきっとずっと変わらない…
「今日は見てるだけでいい。俺の仕事をちゃんと見ておけ」
「はい」
「覚えるところは覚えて盗めるところは盗め。盗めるんだったらの話だが…」
私よりも少し後ろに立つ課長を、私は振り返って見ることが出来なかった。
覚えることはきっとたくさんあると思うけど、盗めるところなんてあるかな?
言葉では表せないプレッシャーが、私にものすごい勢いで押し寄せていた。
「車…?」
オフィスの外に出て、課長に連れて来られたのは会社の近くにある駐車場だった。
「会社の車だ。乗れ」
「あ、私…一応免許はあるんですがペーパーで…」
「知ってる。俺が運転するからお前は助手席に座れ」
「は、はい…」
課長に言われた通り、私は助手席に乗り込みやや緊張しながらシートベルトをしめた。
碧と車に乗るなんて…子供の時に親の車に乗せてもらった以来だ。まさか碧の運転する車に乗る日が来るなんて思いもしてなかったよ。
カチ…
ブブブ…
手馴れた手つきで車にキーを指し、課長は車のエンジンを入れた。そしてシートベルトをしめてハンドルを握り車をゆっくりと走らせる。
「……」
「……」
車内は会話なし。しーんとしてるのはやっぱり気まずい…
「あの…これからどこに行くんですか?」