危険なお見合い
日傘を優雅にさしたまま右に左にくるくると向きをかえながら、年配の女性は話をしてきた。
「私は松田凪子っていうの。療養施設から1㎞ほど離れたところに家があって、ここへは週に3日来てるのよ。
2か月前に息子の不祥事で精神的にまいってしまって、めまいがするようになったの。
それからここに移ってきて療養してるんだけど・・・最近思うのよ。
私にも娘がいたらよかったのにって。
いい息子ならショックを受けることもなかったのに、女性を泣かしてばかりの息子の尻拭いばかりをしてきて、そんなバカ息子を叱ったら夫にも離婚されて家を追い出され、毎日早くお迎えが来ないかと祈ったりもしたわ。」
「息子さんってもう大人なんでしょう?
だったら松田さんが尻拭いしなくてもいいんじゃないですか。」
「そうね。今ならそう思えるわ。
だけど、家を追い出される以前は、何かと家名というものを気遣わなくてはならなかったの。
これでも、会社の副社長までやっていたのよ。」
「すごいですね。」
「自分には特技といえるほどのことはなかったのにねぇ。
当時はハイカラ娘でいたかったんだと思うの。
会社がね、アメリカの会社だったの。
アメリカ人男性と恋におちて、まるで恋愛小説のような恋だった。
でも、両親がなくなって主人が会社の代表になってからというもの、人が変わってしまったの。
そして気がつけば・・・会社やマスコミに都合のいい女性とつきあうことが多くなってね。
私の居場所なんてなくなってしまったわ。
出会ったときの情熱なんて消えちゃった。
だけど、息子たちには期待してたんだけどね・・・。
弟の方は小さいながらも、アメリカで牧場を家族で営んでいるの。
でも兄の方はね・・・あの父親を見て育ったからか、たくさんの女性を泣かしているみたいで。
警察に捕まっても不思議じゃないようなことも、多くやってるんだと思うわ。
だけど・・・そんな息子にあの父親は多くのお金を与えてしまったのよ。
仕事はそこそこできるみたいなのに、そこで満足できないらしくてね。
婦女暴行まがいなことも多くしてるみたいなの。」
「えっ・・・それじゃ、私のような男性恐怖症になってしまう女性がたくさん・・・」
「たぶん・・・。女の側にたてば、心にずっと傷がつくんだもの。
ほんとに申し訳ないわ。
好きな人ができても、素直に反応できないなんて、かわいそうすぎる。」
「そうですね。私も凌路さんがいなかったらまだ、一歩も前に進めないところでした。
凌路さんも昔、弟さんのことで誤解して私を襲ってきたことがあるんですよ。」
「えっ?あんな優しそうな人が?」
「まだ若くてカメラマンをしたかった凌路さんはご両親を亡くしていきなり大きなホテルのオーナーになって、弟さんはご両親を亡くしたショックでギャンブルで遺産の一部を使い切ってしまって、それから私の姉にお金を貢いだりして・・・私はその姉に間違えられてしまって。」
「それは災難ね。まさかその罪を結婚でなんて・・・?」
「いいえ、弟さんが話して、誤解だったと謝ってくれたけど、学生だった私はもう会いたくなくて。
それでそのまま・・・。
そんなときに、叔母のところにお見合いの話がきて、会ってみたら凌路さんだったんです。」
「私は松田凪子っていうの。療養施設から1㎞ほど離れたところに家があって、ここへは週に3日来てるのよ。
2か月前に息子の不祥事で精神的にまいってしまって、めまいがするようになったの。
それからここに移ってきて療養してるんだけど・・・最近思うのよ。
私にも娘がいたらよかったのにって。
いい息子ならショックを受けることもなかったのに、女性を泣かしてばかりの息子の尻拭いばかりをしてきて、そんなバカ息子を叱ったら夫にも離婚されて家を追い出され、毎日早くお迎えが来ないかと祈ったりもしたわ。」
「息子さんってもう大人なんでしょう?
だったら松田さんが尻拭いしなくてもいいんじゃないですか。」
「そうね。今ならそう思えるわ。
だけど、家を追い出される以前は、何かと家名というものを気遣わなくてはならなかったの。
これでも、会社の副社長までやっていたのよ。」
「すごいですね。」
「自分には特技といえるほどのことはなかったのにねぇ。
当時はハイカラ娘でいたかったんだと思うの。
会社がね、アメリカの会社だったの。
アメリカ人男性と恋におちて、まるで恋愛小説のような恋だった。
でも、両親がなくなって主人が会社の代表になってからというもの、人が変わってしまったの。
そして気がつけば・・・会社やマスコミに都合のいい女性とつきあうことが多くなってね。
私の居場所なんてなくなってしまったわ。
出会ったときの情熱なんて消えちゃった。
だけど、息子たちには期待してたんだけどね・・・。
弟の方は小さいながらも、アメリカで牧場を家族で営んでいるの。
でも兄の方はね・・・あの父親を見て育ったからか、たくさんの女性を泣かしているみたいで。
警察に捕まっても不思議じゃないようなことも、多くやってるんだと思うわ。
だけど・・・そんな息子にあの父親は多くのお金を与えてしまったのよ。
仕事はそこそこできるみたいなのに、そこで満足できないらしくてね。
婦女暴行まがいなことも多くしてるみたいなの。」
「えっ・・・それじゃ、私のような男性恐怖症になってしまう女性がたくさん・・・」
「たぶん・・・。女の側にたてば、心にずっと傷がつくんだもの。
ほんとに申し訳ないわ。
好きな人ができても、素直に反応できないなんて、かわいそうすぎる。」
「そうですね。私も凌路さんがいなかったらまだ、一歩も前に進めないところでした。
凌路さんも昔、弟さんのことで誤解して私を襲ってきたことがあるんですよ。」
「えっ?あんな優しそうな人が?」
「まだ若くてカメラマンをしたかった凌路さんはご両親を亡くしていきなり大きなホテルのオーナーになって、弟さんはご両親を亡くしたショックでギャンブルで遺産の一部を使い切ってしまって、それから私の姉にお金を貢いだりして・・・私はその姉に間違えられてしまって。」
「それは災難ね。まさかその罪を結婚でなんて・・・?」
「いいえ、弟さんが話して、誤解だったと謝ってくれたけど、学生だった私はもう会いたくなくて。
それでそのまま・・・。
そんなときに、叔母のところにお見合いの話がきて、会ってみたら凌路さんだったんです。」