危険なお見合い
ライドの事情を凌太にきいたこともあって、幾分かは冷静になれた優理香だった。
痛み止めの効果が薄らいだのか手首が少し痛んだが、優理香は凌路の病室へと見舞いにいった。


「優理香っ!!無事だったんだな。
よかった・・・ほんとによかった。」


「凌路さん・・・。」


「あっ、みっともない姿でごめん。
ほんとは君を抱きしめたいんだけど、腕も片方折れてるし、肋骨に足に・・・って、俺情けない姿だろ。」


「ううん、凌太さんからきいたわ。
5人も相手にがんばってくれたんですってね。
私がライドに連れていかれないように立てなくなるまで・・・ごめんね。」


「気にするなって。俺はけっこうタフだから、骨さえくっつけば大丈夫だって。
それより、凌太にきいたんだが、優理香はライドの前で手首を・・・切ったってほんとだったんだな。
傷口は深いのかい?」


「そんなに深くはないわ。
出血はけっこうあったみたいだけど、退院は私の方が早いわ。
凌路さんにカルシウムいっぱいの差し入れを持ってきてあげるからね。」


「無理すんなよ。
それと、ひとりで出歩かないでくれ。
どうせ、俺はこのとおり動けないからさ、行き来しなくても電話でいい。
リハビリ中心になったら、家にもどってスタッフを雇うから。」


「そんなあわてて出てこなくても、病院で・・・」


「俺が君と離れて早くよくなると思うか?」


「ぷっ・・・もう凌路さんったら。
わかったから無理だけはしないで、元気になってくれればいいわ。」


2人は優理香が退院するまでは、凌路の病室でたわいもない話をして、凌路の骨がくっついて歩き出す頃には凌路の希望でリハビリスタッフを雇って施設でがんばることにした。

優理香は取材で出歩くことは、まだ怖く、施設内でお手伝いをしていた。


「優理香・・・悪いけど、事務を手伝ってくれ。
俺が入院してる間にけっこう仕事がたまってしまってな。」


「はい、私にできることだったら何でも。」


「えっ・・・何でもいいのかい?
君にできることで何でもきいてくれるというのか?」


「ちょ、ちょっと待って!
わ、私に何をさせようっていうの?」


「そ、そりゃもちろん・・・あ~んなこととかこ~んなこととか、Hなことをいろいろと・・・。」


「もう!知らない。Hなことなんて・・・そんなことじゃないかと思ったわ。
(えっ!?どうしてそんなことなんて・・・私がHなことを望んでいる?)」


「ふふふ。いい傾向だな。」


「えっ?」


「ライドに会ったとき手首を切るほどのショックだったんだろ?
たわいもない冗談が言えるようになったのはいいことだよ。」


「たわいもない冗談・・・。そ、そうね。
(まさか真剣に考えたなんて言えるわけもないわ。)」


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