危険なお見合い
優理香が頭を押さえながら、体を起こすと、大きな男性が小さくなって土下座して謝っていた。

これは冗談とかドッキリとかいう次元じゃない。

本気で私に謝罪しているんだ・・・。


「どうして?どうして今頃、そんなふうに謝る気になったの?」


「説明すると長くなるけど、なるべく簡単にいうと・・・君を襲ったときはちょうど僕らの父親が亡くなってすぐで僕は父の後を継いでホテルの経営者として学ぶことがいっぱいだった。

弟がそのときに、君のお姉さんに父が残した財産のほとんどを取られてしまって、挙句の果てに結婚を申し込んだのに弟を捨てたときいた。

それで、イライラしていた俺は君たちの旅館に乗り込んだんだ。
その日はご両親は旅館の会合に出かけているのをあらかじめチェックしておいたから、部屋には君たちだけだとわかっていた。

君の姉さんの部屋にいたら、君が入ってきたから俺は間違えて・・・君の声に俺は怒りをすべてぶつけてしまったんだ。
弟のことだけじゃなくて、自分のつらかったことも・・・。
そしたら弟が追いかけてきて、君は妹の方だって、叫んで・・・すまないって謝ったけど、君は泣きながら出ていったからわからないだろうと思っていた。


それから俺は勉強とホテルの仕事でいっぱいの生活になって・・・落ち着いて君のことを考える余裕もなくなった。
未遂だったし、俺なんて過去のちょっとした亡霊程度に思ってたんだけど、最近になって君についての批評が書かれていた雑誌を見て、君が恋愛できない女性だって書かれてあったから・・・ここにきた。」



「そう。恋愛できない女性を間近に見て、笑えた?
いいこと教えてあげる・・・。

確かに、あなたのいったとおり、過去の亡霊になるはずだったのよ。
でも、亡霊にできないできない出来事があったの。」


「原因は俺だけじゃないってことかい?」


「うちの旅館が倒産したことくらいは知ってるわよね。
そして、私はライターの勉強をするためにアルバイトをいろいろやったわ。

姉はアメリカへ行くって言ったまま、いなくなってしまうし、私はひたすらバイトをするしかなかった。

そのとき、あるホテルでベッドメイキングをしていたんだけど、アメリカ人だと思うけど、清掃中の表示を無視して部屋に入ってきて、私を襲ったの。

私はさっきみたいにおかしくなって意識を失いかけたわ。

そのときに、先輩の女性が助けてくれて襲ってきた男は逃げていったんだけど・・・私はクビになったの。」


「どうして?助けてもらったんだろう?」


「私、服を着てなかったの・・・だから、合意の上か私が誘惑したんだと・・・思われて。」
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