危険なお見合い
夜になって、凌路は登場する老夫婦を待ち構えるようにカメラを構えた。


ギターとピアノの生演奏で登場した2組の老夫婦がペコリとおじぎをして、挨拶をした。

「本日は私たち姉妹の結婚披露宴に集まっていただいてありがとうございます。
おたがい、事業が忙しく、実婚状態でしたが、お互いの会社が滞りなく新しい社長を迎えることになって、これからは私たち自身の健康や趣味に生きることができます。

これからの私たちをどうかゆったり、まったりと応援してください!」


「うわぉ!!がんばれっ!」


「お疲れ様ぁ!」


2組の老夫婦は1組は夫がもう1組は妻が社長として会社をがんばってきたが、忙しくて普通の夫婦として楽しめなかったが、姉妹が協力してお互いに引退することにしたのだった。

実婚という形で息子や娘たちはいたものの、きちんと籍を入れられるか不安だったともらす2夫婦だった。



「こういうセレモニーをするのにどうして一流ホテルを使わないんだ?」


「直接きいてみれば?」


「いいのか?じゃ、きいてくる。」




凌路は祝っている若い親戚が集まっているところにいって尋ねてみた。


「どうして、お祝いは一流ホテルの方でやらないんですか?」


「そりゃ、そういうところでやると人は集まるけれど、一族の信頼は深められないじゃないか。
彼らは社長の家族だからね、大きくて有名なところでやると、あとで誰が呼ばれて誰が呼ばれなかったとかめんどくさいんだよ。

出てなかったら余計な噂をされたりね。
ここだったら、家族と親戚だけ・・・っていえるでしょ。」



「なるほど・・・ってことはふだんは一族で会うなんてことは?」


「ほとんどないんだ。
仕事に追われてしまうからね。

会えて時間がとれても、みんなで集まるっていうのはできなくてね。
やっぱり、普通の人の法事みたいに集まることもしたいじゃないか・・・ねぇ。」


「そうだったんですか・・・。」


「それにね、ここは音楽もだけど、プログラムは参加者の自由なので、手作り感覚で楽しめるんだよ。

このあと、ダンスパーティーもあるしね。

それに出し物に困ったら、アドバイザーに相談すれば歌手や演奏者、マジックなんかも呼んでくれるんだ。」


「いいですね。
手作り感があって、自由を感じる・・・。」



それからしばらくして、ダンスミュージックが流れて、みんなが踊りだした。


< 7 / 41 >

この作品をシェア

pagetop