run and hide
「―――――――」
「・・・・こんにちは、お世話になっております」
椅子から立ち上がった男性が、笑顔を浮かべて私を見ていた。
まーさーきいいいいいー!!
一言も発せずにくるりと回れ右をして、ドアをバタンと閉める。
・・・・私・・・今、確か、正輝を見た気がしたけど??いや、そんな・・・だって広告営業の正輝の会社とうちの会社は取引ないし。大体私はその担当ですらないし・・・・。
ドアを背にして廊下で一人でぶつぶついっていたら、いきなりまたドアが開いて危うく後ろに転びそうになる。
「ひゃあ!」
「あ、悪い。もたれかかってたとは」
とっさに支えてくれた正輝の手から急いで逃れた。
「ちょっと・・・!何であんたがここにいるのよ!?」
まあ、とにかく入れよ、と腕を引っ張られて応接室に引き入れられて、ドアを閉めた正輝を睨みつける。
「答えて!」
ひょいを肩をすくめて、爽やかな外見で正輝は言った。
「飛び込み営業してたんだ。このビルの前を通りかかったから、寄っただけ」
・・・・あ、そう。私はくいっと片眉を上げる。