run and hide
5、見つけて捕まえて
昔、何かで読んだ。
「象を冷蔵庫に入れる方法」。
①冷蔵庫を開ける ②象を入れる ③冷蔵庫を閉める
私は子供ながらに感心した。なるほど、確かにそうだ!って。
一件無茶に見えることでも、方法だけを論じるなら実に簡単なことなのだって。だからこれを応用すれば、全ての物事は簡単になるはずで―――――――
自分のデスクで火をつけていないタバコをこねくり回す。積み上げられた没になった企画書と、開いたままでフリーズ状態のパソコン。
全てが停滞した私の世界に、強引に亀山が入ってきた。雑誌と共に。
「おい!」
頭に雑誌が振り下ろされる。そのボスって音に、なーによ・・・と私は気だるく返す。
「また仕事進まない状態に入ってるじゃねーかよ!お前、いい加減にしろよ!」
「・・・すんません」
「―――――謝るときは、ちゃんとした日本語使え」
「済みません、ごめんなさい、申し訳ないです」
「・・・・頼むぜ、梅沢」
はあ~・・・と長いため息をついた。今進んでるプロジェクトは亀山と共同だ。めちゃめちゃ迷惑をかけている。判ってる。だけどだけど――――――
「明日には、治るから」
「・・・またそれかよ。もう信憑性ねーよ」