run and hide
やっと告白出来たのに。
やっと、なのに。
・・・・・これかよ。
滲む視界に夕日がはえる。初夏の夕方はこうして私を置いてけぼりにする。
この涙はタバコの煙がしみてるからだ、と自分に言い聞かせた。
目が痛いのも、胸が痛いのも、全部全部タバコのせいなのよ。
絶対そうなんだから。
そして立ち上がる。
一個くらい、マトモに仕事してから帰ろう。泣くのは家で思う存分出来るんだから。よかった、実家じゃなくて。こんな時は一人暮らしが役に立つ。
大きく深呼吸する。
私の長い片思い、こんな形だけど一応終わり、かな。恐ろしくて正輝の電話を待つなんて出来ない。心苦しいけどまた着信拒否だ。
もう、いっそのこと違う土地でやり直したいくらいだ。頭の中を今まで出張で行った色んな土地が駆け巡っては消えて行った。
ぐぐっと唇をかみ締めた。
そして、亀山の元へ向かう。
私はサラリーマン。給料のことくらいはしなければ。
戦場へ向かう兵士の気分だった。