run and hide
もう、仕方ないな・・・とうんざりしたけど肩をすくめて、正輝の肩の下に自分の体を押し込み、何とか立たせた。
靴と鞄を放り投げる。何とか鍵を閉めて、ヨロヨロとやつを動かした。
寝室に連れてって、ベッドに投げ出す。
うう~・・・と唸りながら、大して酒に強くない男はベッドに転がった。
私は自分の世話を後回しにして正輝をむいていく。残業に疲れすぎていて、この3日間あんなに焦がれた男が今目の前で寝ているという事実にも興奮しなかった。
テキパキとスーツのジャケットを脱がせネクタイを外し、ズボンのベルトと靴下を脱がせて、賭け布団をかけてやった。
「・・・はあ~・・・ダメ。本気で疲れた・・・」
全く、何でこんな重労働よ・・・。ぶつぶつ言いながら寝室を出て、今度は自分の世話をした。
お風呂に入ってさっぱりし、ビールにおつまみ程度の夜食を口にし、もう、どう頑張ったって間違いなんか起こりそうにないからと正輝の体を横に押しやって、狭かったけど一緒の布団で寝た。
どうせ私は明日も出勤するつもりだ。正輝より先に起きれば問題なし。大体お客さん用の布団なんてないのだから、仕方ないではないか。
熟睡とはやっぱりいかなかったけど、それなりには寝れた。隣の正輝の存在は忘れるように努力もしたんだけど。自己催眠かけたりとかで。
何かの気配を感じて、うっすらと目を開けた。
「・・・うん?」
何か、違和感がある・・・。寝返りをうとうともそもそと動いた。ってか何でこんなに窮屈なの?あれ?だってここは私の部屋で―――――――