run and hide
正輝の言葉の意味を理解し、顔面が炎上した。
「いいいいいいや、あれはちょっと、その・・・」
「その?」
「夢で・・・えーっと、夢うつつでトチ狂ってて・・・」
「俺に、ぎゅ~ってして、ちゅ~ってして欲しいって?」
「言ってない言ってない!!」
「聞いた」
うわあ~!!何だ何だ、いきなりこれは何だ?私はどこにいるの!マトモな私の生活はいずこへ!?
いきなりハートマークが一杯のキラキラの空間に放り込まれたみたいだった。
正輝が両手で固まる私を包んだ。ふんわりと、正輝の黒髪から私と同じシャンプーの匂いがする。
「・・・・ぎゅ~、して」
きゃー!私は心の中で絶叫。外見は火を噴く石。
そっと私の肩に両手を移動させて、正輝が顔を近づけながら目を伏せた。
「・・・それから」
夢に見ていた。
ずっと、憧れていた。
誰か他の女を好きになるたびに、輝く正輝を見て凹んでいた。
私じゃなれないのか、って。
どれだけ綺麗に化粧したって、トレーニングで体を引き締めたって、ビックリするほど値段もヒールも高い華奢な靴を履いたって、彼は私を女としてみてくれないんだと、がっかりしていた。
その彼が。
友達の笑顔しか見せてくれなかった彼が。
今、私にキスしてる――――――――――