run and hide
今晩は荒れる、と天気予報が出ていた。
昼下がりの都会の真ん中の公園のベンチで、俺は途方にくれて曇りだした空を見上げる。
凄い勢いで風が雲を吹き飛ばしていく。
嵐がくるんだ。
降りだした。
電車に揺られながら、どんどん悪化していく外の世界を見ていた。
俺は翔子の部屋に向かっている。
今日で、最後にしようと思っていた。
もう3週間以上逃げられていて会えてない翔子と会えるかは判らないけど、だけど会えたら、もう一度だけ話をして、諦めようと。
やり手の企画営業で忙しい翔子が、木曜日は帰りが早めなのを覚えていた。
うまく行けば会える可能性がある。
アポをひとつキャンセルして来たんだから、やっぱり今晩は会いたい。
そして、決着を――――――・・・・
いきこんで改札を出ると、外は大嵐になっていた。
土砂降りの雨に、強烈な風。駅の構内にまで雨が振り込んできていて、仕事帰りの人たちがうんざりした顔で奥のほうへと避難していた。
・・・すげー。台風並みだな・・・。
俺はどうしようかと一瞬悩む。