run and hide
裸のまま思わず考え込んでしまって、ハッとした。
いやいや、今、俺が気にすることじゃないよな。
とにかく、裸で翔子の前をうろうろするわけにはいかない。有難く着させてもらうことにした。
早く交代してやらねばと台所に行くと、部屋着に着替えたラフな格好の翔子はコーヒーを入れながら、振り返った。
「ごめん、お先」
声をかけると、なぜか固まってしまっていた翔子がパッと視線を逃がした。
「こっ・・・コーヒー淹れといたから飲んでおいてね。服は乾燥機に入れるから、乾くまでしばらくそのままでいて。じゃあ私入ってくる!」
そして早足でお風呂にいってしまった。体、相当冷えてたんじゃないかな・・・。
さすが翔子、気がきく。早速淹れてくれたコーヒーを飲んでいると、腹が鳴って空腹を告げた。
・・・そうか、もう7時半だもんな。
人んちの台所で勝手にご飯作れないし、翔子には翔子の都合があるだろう。でも、何とかできないかな、と頭をめぐらせると、まだ読まれてない今日の朝刊に挟まれているチラシが目に入った。
にんまりと笑う。
ピザ。確か、翔子はすきだったはず。これを注文しておこう。
何とか無事だった携帯電話を取り出した。
やっぱり女性でそれなりに時間が掛かっていたので、翔子が上がってくるまでテレビを勝手につけてみていた。
だけど、全然頭に入ってこない。
何か俺が翔子の部屋で寛いでるのが不思議で、妙にそわそわしてしまった。