年下彼氏は胸に筋肉?(笑)
「スタジアム到着して、入れるまでに少し時間あるけど、なんか軽く食べる?」
 
初めてのデートでの食事って、お互い何が好きかとかまだ知らないから、ちょっと悩む。

しかも、彼がリードしてくれないと・・・
って、思ってしまう。

なんだか、30代になってから、男とはこういう人でないとダメみたいのが染み付いてしまい、自分の考える行動をしてくれないと、熱が冷めてしまうことがある。
 
過去の彼と別れた理由で、多かったのはこれが原因。

そのことをもちろん相手に伝えたことはないけど、いつも突然冷めてしまうのだ。
だから、結果的に私が振ったみたいになってしまってる。

世間の女子からは、なかなかどうして、私嫌われてるの知ってるつもり。
 
「私、この辺の土地勘がないんだ。」
「そっか。そしたら、任せてもらっていい?」
 
はい、きました!
満点の回答ですよ!
合格です。
もちろん、お任せしたいに決まってる!

「おすすめのところにお願いします!」

少々ぶりっ子に見えようが、今日は特別だ。
右斜め45度を意識して、思いっきり可愛く見えるように、言ってみた。

すると、彼がちょっと恥ずかしそうにしだした。
ちょっと、もしかして、気になってるよね、私の事。
 
スタジアム手前の桜木町駅で、下車した私たちは、テレビでよく見るランドマークタワーと大きな観覧者に出迎えられた。

道すがら、彼に営業トークさながらに私の事情聴取が行われた。

好きな食べ物は何か。
嫌いな食べ物は。
いつも何時ぐらいにご飯食べてるのか。
休みの日は何をしているか。
好きな音楽は。
 
横浜駅からわずか一駅だけど、電車が来るまでの時間と下車するまでの時間で、いつも会社ではしないような、会話をした。

彼は、横浜の生まれで、今も横浜に住んでいるから、この近辺はテリトリーなんだとちょっと自慢げに話してくれた。

何気ない会話なのに、彼と話していると、飽きない。
 
この飽きないというのは、私にとって、とても重要。

過去の恋愛体験上、一緒にいるのに、こちらが一生懸命に話さなければいけないような相手とは、残念ながら、長続きしなかった。

きっと、私が相手に興味がなくなる瞬間が、会話に飽きる瞬間なのだろう。
 
でも、彼は、私の話す速度に合わせて、返す言葉が出てくるのを見計らって話を進めてくれた。
彼の気遣いに、感動すら覚えた。
 
私たちは、土曜日で人が溢れかえる桜木町の駅を観覧車に向かって歩いてみることにした。

「ライブが終わってからって、ご飯食べる時間ある?」
 
すっかり、今ご飯食べると思っていたから、びっくりしていると
「もし、食べる時間があるなら、今は、この先の赤レンガで、軽くおやつでも食べて、夜は、僕のおすすめのところに連れて行きたいなって。」
 
全力OKでしょ。
絶対NOなんて、言わないよ!
うんうん。
でも、回答には、気を使う。

この期に及んでかもしれないけど、やっぱり女子として、追われる立場でありたい。
だから、彼が、もうひと押ししてくれるように、回答する。
この時ばかりは、計算高いと言われようと、必死。
 
「本当?うれしい。でも、一度家に連絡しなきゃ。家でご飯用意してるかもしれないから。」
家出るときに、今日泊まるかもぐらいな勢いで話してきたんだから、そんなことあるわけないけど、

実家で暮らしていて、ちゃんと毎日家帰ってるアピール。
無駄だと思う?
甘い。
男の人は、一人暮らしで、30代超えてると思うと、だらしない、干物、自分以外にも男連れ込んでるんじゃないかって、想像したりしてるんだから。
実家で、両親と暮らしていて、家族とコミュニケーションが取れているのは、ポイント高い。
って、私の持論。
 
「そうだよね。そしたら、今日は夕飯、外で食べるよって、連絡してもらえる?」
「うん!」
 
私の方が、彼の事、きっと好きなんだと思う。
でも、どっちの好きが強いかのメーターを見れるなら、彼が私を大好きでいてくれるように誘導したい。
 
赤レンガに到着すると、周りには、手をつなぐカップル、もう人目も気にならないと、ところ構わずKissをするカップルまでいて、私は、なんだか恥ずかしくなってしまった。

彼は、このカップルだらけに、慣れてしまってるようで、スタスタと目的のお店まで歩いていく。
人が多くて、私が逸れそうになると、さりげなく手を取ってくれた。
 
「食べ歩きみたいに、どっかで買って、スタジアムまで歩くのどうかな?」
 
気合を入れてお洒落してきた私の今日の靴知ってるかな・・・
結構、ヒールのある靴なんだけどな・・・
と、ちょっとしょげた顔をしてしまった。
 
「あ、ごめん。たくさん歩くの大変だよね。少し、ここで休憩して、タクシーで移動しよう。」

気づいてくれて、ありがとう~と泣きそうになった。
というか、歩くつもりがあまりなかったから、新しいヒールの高いパンプスを履いてきてしまった私も悪いのかな。
 
彼が連れてきてくれたのは、ガレットというクレープ的な食べ物のお店。

「こんなお店、誰と来たんですか?」

ちょっとイタズラっぽく、でもヤキモチ全開で聞いてみる。

「あ~、うちの姉貴が、前にここで働いてて、たまに家族で食べに来てるんだよね。」

案外普通に回答されて、腑抜けになってしまった。

「そういえば、女の子と一緒に来るの、初めてかも。(笑)」
 
なーにー!!
テンションが急上昇して、倒れるかと思ったし。
おかげで、せっかく彼がお奨めしてくれたマンゴー&ラズベリーソースの味を堪能することも出来ず食べている間中、『もしかして、もしかして』って一人で期待をしていた。
 
約束通り、彼は食べ終わるとタクシーを拾ってくれて、JBの待つスタジアムに到着した。

しばらく忘れてたけど、今回のチケット、バックステージパスだ。

彼への気持ちを現実だとするなら、夢の世界に入る為、しばし、現実の彼を無とすると決めた。

でも、その時
 
「ソノ!」
 
どっからか、かわいい声がする。
振り向くと、私よりも背が小さくて、色が白く、ハーフ?と思うぐらい目がクリクリした女性が彼に抱きついてきた。

「まゆ。」

彼は、少し困惑した顔で、その子の手をどけた。
 
「誰?」

こんなにかわいい子が突然現れて、動揺しない訳ないじゃん。
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