サボテンの恋
「しかも絶対に彼氏とかいないよねー」
「言葉遣いとかキツイもんね。美しいバラにはトゲがあるって感じ?」
「えー、別に美人じゃなくない? 顔立ちは整ってるけど地味だし」
「じゃあサボテンかな」
「花がないしねー!」

加速していく自分へと向けられた悪口を振り切るように勢いよく立ち上がって小走りでその場を離れる。ヒールを履いた足がやけに痛む。

もう人があまり残っていないオフィスにカバンを取りに戻ってから、下へと降りるエレベーターを待つ。

エレベーターの先にある休憩室のドアが視界の隅に映って、さっきの女子社員たちの笑い声がよみがえる。小春は思わず耳をふさいだ。
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